本記事では未公開の「短答合格法」を、note で限定公開しました。
【2023年】短答を確実に突破する「特化型戦略」
こんにちは、公認会計士のロディです。
フォロワーの方から複数ご要望があったので、監査論の勉強法をご紹介します。
僕は 監査論が得意ではありませんし、成績も至って平凡です。
監査論以外の科目(財務・管理・企業)は自信をもって「得意」と言えるのですが、監査論にかぎっては「むしろ苦手」でした。
(聞いたところによると、地頭の良い方は 監査論にあまり苦手意識がないとか…。)
そこで本記事では、僕が実践していた「監査論を落とさない勉強法」についてご紹介します。
筆者の監査論の成績

とても平凡な成績なのですが、一応、模試と本番の成績をのせます。
短答の成績推移
得点 | |
---|---|
2011年11月(模試) | 70/100 |
2011年12月(本番) | 65/100(ボーダー:70%) |
2012年 4月(模試) | 70/100 |
2012年 5月(本番) | 65/100(ボーダー:67%) |
論文の成績
得点 | |
---|---|
2013年 7月(模試) | 53.60/100 |
2013年 8月(本番) | 52.65/100(ボーダー:52%) |
ずっと平凡な成績なのですが、ずっとボーダー付近の得点をキープできていました。
僕自身、「監査論が苦手なタイプ」であることは分かっていたので、いかに失敗を防ぐかだけを考えて勉強をしていました。
(しかし、何度見ても平凡だ…。)
監査論を勉強する際の基本的な考え方

勉強法の前に、監査論という科目の性質を解説します。
その性質を知ることで、勉強法の本質を理解できます。
① そもそも、監査論は「知識を問う試験」である
たまに「監査論には答えがない」と言う方がおられますが、それは間違っています。
そのため、大前提として 監査論は「知識を問う試験」なのです。
短答の過去問の解説を読んでみてください。 必ず、根拠となるルールの条文番号まで記載されているはずです。
しかし、「監査論を解くときは、常識で考えよう」みたいな話もよく耳にするでしょう。
これは何故なのか?
くどいですが、監査論という試験は「知っているか知らないか」が正答率に影響を与えます。
しかし、監査論は範囲が広すぎるため、全知識を習得するのは不可能なのです。
そのため、「常識」に多少頼った回答が 効率的だったりするのです。
決して、「暗記をせず、常識で回答しよう」という発想をもってはいけません。
ちなみに、いま「令和2年第2回短答式試験」の監査論を解いてみたところ、90点でした。
(なんで100点取れないんだよ、なんてツッコミもありそうですが…)
難易度がCの問題でも、普通にわかります。 単に知っているからです。
自慢したいわけではなく、本来的には「監査論は知識を問う試験である」ということを改めて示したいのです。
② 監査論はリスクの高い科目である
すでに勉強されている方ならご存知と思いますが、監査論は「守りの科目」です。
問題を解き終えても、いまいち「手ごたえ」がなく、出来たと感じても 思いのほか点数が悪いこともあるでしょう。
他科目と比較すると、次のようなイメージです。

(あくまでイメージです)
企業法などは ほぼ知識で回答できるため、暗記した分だけ得点が伸びやすいです。
たまに分からない問題が出ますので、そこは感覚(勘)で回答することになるでしょう。
しかし、監査論は「感覚」での回答ボリュームが多く、単純な暗記による得点ボリュームが少ないのです。
ここで、「あれ? 監査論は知識を問う試験ではなかったの?」というツッコミが入りそうです。
なので、少し補足をします。
厳密に言えば、企業法も監査論も、どちらも全て「知識を問う試験」です。
「企業法」は過年度の出題傾向などから「何度も問われる論点」が多く、答練・問題集などの的中率が高いため、答練・問題集の知識をそのまま使うことができます。
しかし、「監査論」は出題傾向が読みづらく「何度も問われる論点」が少ないため、答練・問題集の知識を活用するできるボリュームが少ないのです。
そのため、学習が手薄になっている部分を「感覚」で解くことになるのです。
うまく伝わったでしょうか? (文字で説明するのって、難しい…。)
③ 誰もが正解できる部分を、正確に記憶する
僕の感覚値として、短答式本試験(監査論)の半分くらいは「知識」で戦える問題です。
そして、残りの半分が「感覚」で戦うことになる問題です。
「知識」で戦える部分が少ないからこそ、この部分は絶対に落としてはいけません。
そして、誰もが正解できる部分とは、「答練の重要性が高い問題」「正答率の高い問題」と言い換えることができます。
つまり、答練の重要性が高い問題・正答率の高い問題は、確実に記憶する必要があります。
そして、「感覚」さえも鍛えることができれば、ボーダーラインに届くことができるでしょう。
監査論の勉強法【全般】

前置きが長くなりましたが、ここからが本記事のメインです。
ここまでで、次の2点を意識すべきことが分かりました。
- みんなが知っている知識を、正確に記憶する
- 「感覚」を鍛える
この2点が実現できる勉強法を、それぞれ解説します。
① 「引っかけどころ」を覚える
監査論のやっかいなところは、「丸暗記になりがち」なことです。
それもそのはずで、監査経験のない人にとって「監査実務」をイメージすることは非常に難しいからです。
だから、丸暗記になるのは仕方がないのです。
しかし 完全な丸暗記に頼っていると、本試験で正解できなくなります。
重要なのは、「引っかけどころを覚える」という作業です。
ちょっと説明が難しいので、実際の問題を例にして解説します。
具体例

こちら、誤りの選択肢は「ア」と「イ」です。
理由は次のとおりです。
解説

(予備校の解説を引用。CPAの解説は丁寧ですね。)
アの引っかけどころは、「監査人が自らサンプリングを行わない」という点です。
イの引っかけどころは、「追加的な対応を常に求める」という点です。
そしてどちらも、基本知識のはずです。(今これを読んでいるみなさんも、知っているはずです)
しかし、この問題の難易度は「B」です。
理由は「引っかけ方」が難しいからです。
たとえば「イ」について。
監査人が会計監査にあたり、常に「監査上の重要性」を意識することは、みなさん知っているはずです。
しかし、この問題を見た時に「その知識を思い出せるかどうか」が難しいのです。
先述したとおり、監査論において覚えるべき知識は、とても少ないです。
「その知識を思い出せるかどうか」が1つのポイントになります。
「引っかけどころである」と強く認識することで、初めて本試験でその知識を思い出すことができ、正解につながります。
テキストを素読するだけでは、この力は絶対に養われません。
ここまでやって、初めて正確な回答ができるようになるのです。
② なぜ? を常に。
次に、監査論を解く「感覚」の養い方です。
これは、上述の「ひっかけどころ」を中心に「なぜ?」と問いかけることで 自然と養われます。
- なぜ、サンプリングは基本的に監査人自身が行うのか?
- なぜ、監査において財務報告への影響を考えるのか?
これを徹底的に考えることで、自分の中での「監査の感覚」「監査の常識」が身に付いてきます。
なぜ?の答えは、たぶんテキストにも載っているはずです。
しかし、形式的な答えしか掲載されていないケースがほとんどです。
とっても面倒な作業なのですが、これが本質だと思います。
自分一人で考えても中々分からないと思うので、ここは予備校をフル活用しましょう。
ちなみに、この作業は 監査実務においても重要になります。
僕ら会計士の仕事は、監査です。
時には その手続を行う理由について、クライアントに説明する必要があります。
当たり前ですが、手続きにはすべて理由があります。
なぜ? と考え続けることで、その論点への理解も深まりますし、監査人としての「感覚」も養われるのです。
③ 時間をかけて答練・問題集を解く
自分に「なぜ?」と問いかけるには、問題集・答練を用いるのがオススメです。
なぜなら、短文で「引っかけどころ」を明示してくれるからです。
やり方は前項のとおりですが、念のため整理して記します。
- 問題を解く
- 解説を読む
- 引っかけどころを知り、論点を記憶
- 論点を深掘りする
1つ1つの問題について実践すると、結構時間がかかります。
しかし、ここは監査論学習の肝となるため、時間をかけるべきだと思います。
なお、4の「論点の深掘り」については、頭の中で考えるだけでなく、リストアップ・メモすると良いでしょう。
④ 時間をかけすぎない
監査論は、とにかく勉強効率が悪いです。
勉強量と成果が比例しません。
そのため、最低限(ボーダーに乗る程度)で学習し、あまり深追いしないことも重要です。
なお、「最低限の学習ができているかどうか」については、答練の成績で確認することができます。
監査論の短答対策

短答の監査論は、いつ受験しても「手ごたえ」がありませんでした。
しかし、模試でも本番でも、常にボーダーラインをキープできていました。
メインとなる勉強法は解説済みですが、短答対策としての戦略を少し解説します。
とにかく答練と問題集を暗記する
当時から「答練を中心に勉強するのはダメ」とか「テキストベースで学習しろ」という声がありました。
しかし、「守り切る戦略」をとる場合、答練と問題集は超重要です。
監査論の鉄則は「みんなが解ける問題を正確に回答すること」です。
母集団と異なる戦略をとるのは非常に危険です。
理解が大前提ですが、暗記も必要になります。
監査論の論文対策

おおむね監査論の勉強法は記載しましたが、論文対策としての勉強法も軽く触れておきます。
当たり前の内容なので、読み飛ばしても大丈夫だと思います。
① 監基報を読み込まない
僕は、わりと監基報をチェックし、原文をしっかりと読んでいました。
もちろん「どこに何が書いてあるのか」は知っておくべきです。
もし条文を調べさせる問題が出たら、即座に条文を見に行かなければなりませんから。
しかし、そもそも基準集を開かせる問題はほとんど出ませんし、原文はテキストに書いてあります。
限りある勉強時間をムダにしてしまうので、基準の読み込みは最低限にすべきです。
② 論文答練で重要性の低い部分は切る
論文対策の時期に入ると、みなさん「租税法」「経営学」に多くの時間を割くため、監査論への学習がやや手薄になります。
特に、論文答練での重要性の低い部分については、そもそも捨てる方が多かったです。
何度も触れていますが、監査論では「みんなが解ける部分を覚える」ことが大切ですから、重要性の低い部分は捨てても問題ありません。
もちろん、やらないよりはやった方が良いのですが…効率はかなり悪いです。
③ 白紙だけは絶対に避ける
もはや常識なのかもしれませんが、重要なので書いておきます。
監査論では、どんなに答えが分からなくても必ず何かしらの論述をすべきです。
また、その際の論述は「できる限り合理的」である必要があります。
仮に試験委員の想定した回答でなくとも、合理性があれば、部分点がくるかもしれません。
分からない問題に対して時間をかけすぎるのはNGですが、「合理性」という点にフォーカスし、何かしらの回答をしましょう。
監査論の勉強法まとめ
以上、監査論の勉強法でした。
わりと納得感のある勉強法だったかと思います。
しかし、何度も触れたように 監査論は「守りの科目」です。
あまり攻めすぎないよう、必ず 他科目とのバランスを取った学習をしてくださいね。
その他、このブログでは公認会計士の勉強法を数多く発信しています。
>>関連記事:公認会計士の勉強法まとめ
本試験での成績や、半年で成績上位に入った流れなども公開していますので、よければご参考くださいね。
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以上、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。