こんにちは、公認会計士のロディです。
すべての受験勉強において、「過去問」は重要です。
しかし、簿記2級から簿記1級にステップアップした方の場合、「簿記1級の過去問をどう活用すれば良いのか分からない」という方が多いです。
そこで本記事では、簿記1級の過去問の使い方と、オススメの過去問をご紹介します。
想定読者
- 簿記2級に合格された方
- 短期合格を目指したい方
[ 目次 ]
1.簿記1級で過去問を使う目的
2.簿記1級の過去問を使用すべき時期
3.簿記1級の過去問の、具体的な使い方
4.効率的に合格したいなら、過去問は1回解くだけで良い
5.簿記1級でオススメの過去問
6.簿記1級に半年合格したテクニック
簿記1級で過去問を使う目的
そもそも、なぜ過去問を使用すべきなのかご存知でしょうか。
簿記1級で過去問を使用する目的は、2つあります。
過去問を使用する目的
- 重要論点(出題傾向)を知るため
- 難易度の高さを知っておくため
1つ目の「重要論点を知る」というのが、非常に大切です。
簿記1級では、過去問を使う目的の9割くらいがコレと言っても、過言ではありません。
重要論点(出題傾向)を知る
これから簿記1級の勉強を始める方は、まだイメージがつかないかもしれませんが、簿記1級の範囲は非常に膨大です。
簿記1級の合格に必要な勉強時間は700時間程度かかり、勉強量は簿記2級の3倍程度必要になります。
>>関連記事:簿記1級の合格に必要な勉強時間は?【実績公開】
一方、簿記2級は(大変だったとは思いますが)さほど範囲も広くない為、特殊な勉強法を採る必要がなく、ひたすらコツコツ勉強していれば合格できる試験でした。
前置きが長くなりましたが、ここでお話したいのは、簿記1級と簿記2級とでは、勉強方針が異なるということです。
簿記2級の勉強方針
- 全範囲を満遍なく学習
簿記1級の勉強方針
- 重要論点と不要論点を、緩急をつけて学習
イメージ図としては、次のような感じです。
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簿記2級までは 範囲が狭かったので、全論点満遍なく学習することで「何が出ても合格点を取れる状態」にすることが重要でした。
しかし、簿記1級は範囲が膨大であり、全論点を満遍なく完璧にするのは不可能です。
そのため、重要度の低い論点の学習時には手を抜き、重要度の高い論点の学習に注力するという勉強方針が大切になります。
しかし、この勉強方針を採るためには、「どこが重要性の高い論点で、どこが重要性の低い論点なのか」を知る必要があります。
ここで、過去問を使う必要が出てきます。
過去問で出題される問題は、基本的に全て重要度が高いです。
一見リスクが高いと思われるかもしれませんが、簿記1級の採点方法は「相対評価」のため、実はこちらの方がリスクは低いです。
>>関連記事:簿記1級の採点方法を知らないと、永遠に落ち続けます。【相対評価】
難易度の高さを知る
こちらは、おまけ程度です。
簿記1級の本試験の難易度を予め体感しておくことで、ゴールを意識した勉強ができるようになります。
難易度を見誤り、ゴールを低く設定して勉強を進めてしまうと、後半で難易度の高さに気付き、絶望してしまう可能性がありますからね。
一方で、予め過去問を解いておくと、日々の学習時も「高いゴール」を意識することができ、集中力が持続するというメリットがあります。
間違った過去問の利用目的
一方で、間違った利用目的は次のとおりです。
過去問の間違った利用
- 実力を確認するために利用する
- とりあえず10年分、何となく解いてみる
これ、絶対にやめましょう。
「実力の確認」は、予備校(スクール)で実施される「答練」で確認できます。
また、何となく解くのも絶対NGです。
簿記1級試験は、1回分で3時間かかります。(初見の場合は4~5時間、解説を読む時間も含めると8~10時間必要になります。)
なんとなく過去問を解いてしまうと、予想以上に時間を消費してしまいます。
ただでさえ簿記1級の勉強時間は膨大ですので、このような無駄な時間はできる限り避け、効率的に学習を進めるべきです。
簿記1級の過去問を使用すべき時期
さて、簿記1級の過去問を使用する目的は、「重要度を知っておくため」「難易度の高さを知っておくため」の2つでした。
この目的を達成するためには、勉強開始の序盤に過去問を解いておく必要があります。
具体的に「どのくらいの時期」というのは個人差がありますが、経験上、勉強スタートから1ヶ月前後までには過去問を解いておくと良いと思っています。
「過去問を解く」という作業は、想像以上にハードな作業です。
難易度が簿記2級とは段違いですから、解いても分かりません。そして、解説を読んでも分かりません。
だからこそ、勉強を始めた序盤のモチベーションが高い時期に、過去問を解いておくべきです。
また、「序盤のモチベーションを下げるから、マイナスになるのでは?」という疑問もあるかもしれませんね。
しかし、ご安心ください。簿記1級の受験という長丁場の受験生活において、「序盤のモチベーション低下」が与えるインパクトは少ないです。
序盤に現実を知っておくことで、中盤~後半のモチベーション低下を防止できますから、むしろ後々メリットになります。
簿記1級の過去問の、具体的な使い方
過去問を利用する「目的」「時期」は上述のとおりです。
さて、では「どのように過去問を使うのか」というお話に入ります。
流れはとってもシンプルです。
過去問を使う際の流れ
- 問題を読む(少しずつ)
- 読んだ問題について、対応する論点をテキストから探す
- テキストの該当箇所に、過去問で出題されたことを示すマークを付す(なお、この時点で解けた問題については、マークを付す必要はありません。)
- 以下、この繰り返し
この学習法は、公認会計士受験生も実施している手法です。(公認会計士試験の場合は、過去問ではなく答練を使いますが。)
文字では少し分かりづらいかもしれないので、以下写真付きで、具体的にご説明します。
① 問題を読む
少しずつ読みましょう。
たとえば今回は、「第134回 簿記1級 工業簿記」の問題を見てみます。

分かりやすくピンク色のマーカーで塗っていますが、実際は塗らなくて大丈夫です。
「修正パーシャル・プラン」という初めて聞く単語が出てきました。
この表現から、「何となく、パーシャルプランみたいなものかな」と想像できますね。
② 読んだ問題について、対応する論点をテキストから探す
次に、解いた問題に対応する論点を、テキストから探し出しましょう。
ありましたね。
変なテキストを使用していない限り、過去問に出題された単語は、必ずテキストに記載されています。
初めは探すのに苦労しますが、慣れるとすぐ見つかるようになります。
③ テキストの該当箇所に、過去問で出題されたことを示すマークを付す
一番重要なポイントです。
テキストの該当箇所に、過去問で出題されたことを示す「マーク」を付けてください。
私の場合は、文房具屋さんなどで売っている赤くて丸いシールをよく使っていました。

これで、後でテキストを見返した時に、「修正パーシャル・プランは過去問に出題されたんだな」と分かります。
あとはこの作業をひたすら繰り返します。
この作業が終わったら、テキストを開くとこんな感じになります。

上の方に赤いシールが1つ、下に赤いシールが2つ見えますね。
テキストをぱっと開いて、どこが重要なのか、一発で分かるようになりました。
この状態で授業を聞くと、赤いシールの部分は集中して聞くことができます。
ちなみに、この赤いシールはコレです。
効率的に合格したいなら、過去問は1度解くだけで良い
過去問の使用法は、以上です。
この使用法を実践すれば、「過去問を解いた形跡」はすべて「テキスト」に残されるので、何度も過去問を解く必要がなくなります。
また、よく「過去問は何回分(何年分)解けば良いの?」というご質問をいただきますが、僕は5~6回分で良いと答えています。
理由は、簿記1級試験の範囲改訂が大体2~3年に一度のペースだからです。
直近2~3年(すなわち、直近5~6回分)が最新の傾向を反映しているので、多くても5~6回分で十分でしょう。
それ以上解くのは、やや非効率です。普通に授業を受け、問題集を解いた方がコストパフォーマンスは高いですよ。
簿記1級でオススメの過去問
簿記1級の過去問は、次のどちらかがオススメです。
僕の出身予備校(ネットスクール)が出している過去問です。
解説が非常に分かりやすいので、Amazon評価も非常に高いですね。
また、最も良いのが「ヨコ解き」できる事です。
論点ごとに過去問をまとめてくれているので、「テキストのどこに書いてあるのか」が見つけやすく、テキストへのマーク時間が削減できます。
2つ目が、TACという大手スクールの過去問です。
こちらも解説が分かりやすく、ネットスクールの過去問に比べて(ほんの少しだけ)サイズがコンパクトです。
こちらはオーソドックスな過去問であり、回ごとに過去問が収録されています。
この他に、資格の大原が出版している過去問もありますが、(少なくとも私の主観では)解説が分かりづらい印象を受けました。
上記2つのいずれかを使用していれば、問題ないでしょう。
簿記1級に半年合格したテクニック
以上、簿記1級の過去問活用法をご紹介しました。
わりと無駄のない活用法だと思います。
今回は「過去問の使い方」でしたが、それ以外にも短期合格のテクニックは沢山あります。
僕が半年合格したテクニックは、noteの方で限定公開中です。(有料です。)
こちらも参考にしていただくことで、簿記1級の勉強時間を更に短縮できますね。
簿記1級は長丁場の試験なので、モチベーションが下がりやすく、挫折する可能性も高い試験です。
ぜひ効率的な勉強を心がけ、最短合格を目指してくださいね。