こんにちは、公認会計士のロディです。
簿記2級を独学で取得し、今は公認会計士として事務所を運営しています。
初めて簿記2級を目指す方にとって、
- 「合格率はどのくらいなんだろう?」
- 「難易度はどのくらい?自分に合格できるのかな?」
という情報は、気になりますよね。
そこで本記事では、「簿記2級の合格率と難易度」 「合格するための勉強方法」をご紹介します。
[ 目次 ]
1.簿記2級の合格率
① 過去の合格率推移は?
② なぜ「第149回~151回」の合格率は低いのか?
③ なぜ「第152回」から合格率は上がったのか?
④ 【考察】今後の合格率を予測
2.簿記2級の難易度
① 商業簿記は、簿記3級→簿記2級でどう変わる?
② 工業簿記って難しい?
3.簿記2級の合格に必要な「勉強時間」
4.簿記2級は、独学合格が可能な試験
5.簿記2級の合格率と難易度まとめ
簿記2級の合格率
簿記2級の合格率は、回によって少しバラつきがあります。
まずは過去の合格率推移を見てみましょう。
過去の合格率推移は?
簿記2級の過去の合格率(過去10回分)は、次のように推移しています。
回 | 受験者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
152(2019.6.9) | 55,702名 | 41,995名 | 10,666名 | 25.4% |
151(2019.2.24) | 66,729名 | 49,766名 | 6,297名 | 12.7% |
150(2018.11.18) | 64,838名 | 49,516名 | 7,276名 | 14.7% |
149(2018.6.10) | 52,694名 | 38,352名 | 5,964名 | 15.6% |
148(2018.2.25) | 65,560名 | 48,533名 | 14,384名 | 29.6% |
147(2017.11.19) | 63,757名 | 47,917名 | 10,171名 | 21.2% |
146(2017.6.11) | 58,359名 | 43,767名 | 20,790名 | 47.5% |
145(2017.2.26) | 78,137名 | 60,238名 | 15,075名 | 25.0% |
144(2016.11.20) | 72,408名 | 56,530名 | 7,588名 | 13.4% |
143(2016.6.12) | 58,198名 | 44,364名 | 11,424名 | 25.8% |
ちなみに、合格率の推移をグラフにすると、以下のようになります。
<画像①>
過去10回分を平均すると、簿記2級の合格率は約23%です。
約4人に1人は合格する割合ですね。
上記のグラフを見ていただくと分かりますが、回によてバラつきがありますね。
ただし、例外があります。
例外
- 149回~151回の合格率
この例外について解説します。
なぜ「第149回~151回」の合格率は低いのか?
149回(2018年6月)、150回(2018年11月)、151回(2019年2月)と、3回連続で平均を下回る合格率(12%~15%)で推移していた事がわかります。
この理由は、試験範囲が改訂されたためです。
具体的に、変更内容は次のとおりです。
変更された回
- 2017年11月(147回が実施された頃)
追加された内容
- 連結会計(その1:資本連結)
- 連結会計(その2:連結会社間の取引・未実現損益の消去)
- 連結会計(その3:連結精算表および連結財務諸表の作成)
147回から、「連結会計」という分野が追加されました。
連結会計は、従来「簿記1級」の範囲でした。しかし、連結会計は実務で多く用いられるスキルであり、簿記2級にも含める事とされました。
「第147回から追加されたのに、なぜ147回の合格率は平準なの?」という疑問もありそうですね。
第147回の合格率が平準的である理由には、試験委員の意図が入っています。
そのため、第147回から連結会計を追加したものの、難易度は易しめに設定されていました。
第148回も同様です。
しかし第149回からは、連結会計が「本来の難易度」で出題されるようになり、合格率が急激に下がります。
第149回から3連続で、合格率12%~15%と低調に推移しています。
簿記2級の受験生としては、最も辛い時期になります。
152で合格率が上がった理由
しかし、第152回ではグッと合格率が上がり、平均を上回ることになりました。
理由は、各予備校が対策できるようになったからです。
簿記2級の講座を開講している予備校では、「過去問を活用した分析」を行っており、この分析結果を教材に反映させています。
このように、簿記2級試験では度々「簿記1級の範囲が簿記2級に下りてくる」という改正があるため、この時に合格率が変動しやすいという特徴があります。
【考察】今後の合格率を予測
大きな範囲改訂は、第147回以降なされておらず、また将来的な範囲改訂も公表されていません。
既に各予備校のテキストも完成レベルにありますので、合格率が下がる事もあまり考えられず、今まで通り23%前後(4人に1人が合格する割合)で推移することが予想されます。
ただし「会計基準」は毎年改正されているため、これが簿記2級に影響を与える可能性はあります。
2023年現在は、前回の改正から3~4年経過というタイミングです。
この時点で日本商工会議所からの範囲改訂が公表されていないため、2023年~2024年にかけて、簿記2級の大きな範囲改訂はないものと推測できます。
その意味でも、簿記2級を目指すのであれば(合格率の落ち着いている)今がチャンス、とも言えますね。
簿記2級の難易度
簿記2級の合格率は、上述のとおりです。
4人に1人が合格する、という難易度ですが、ここでは「科目ごとの難易度」を見てみましょう。
特に簿記2級では「工業簿記」という新しい科目も加わるので、その観点からも解説します。
商業簿記は、簿記3級→簿記2級でどう変わる?
商業簿記は、簿記3級と簿記2級に共通する科目です。
勉強方針に変化はなく、「ひたすら仕訳を暗記する」という王道の勉強方針に、変わりはありません。
とはいえ、範囲は膨大です。(イメージとしては、覚えることが2倍に増えます。)
そのため、簿記3級までは「丸暗記」で対応できていたとしても、簿記2級では「理解」が不可欠であり、この点で「難しい…」と感じてしまう方も多いです。
一方で、毎日コツコツ勉強することに慣れている方は、あまり難易度の違いを感じないかもしれません。
その意味で、簿記3級を取得した直後(勉強の習慣がついている時期)から2級の勉強をスタートすると、スムーズに合格することができます。
工業簿記って難しい?
工業簿記の難易度は、(商業簿記に比べれば)とても低いです。
たまに「工業簿記が難しい」と言われる方がいますが、実は「回答テクニック」を知らないだけです。
工業簿記は2級から新たに追加された科目なので、「回答テクニック」を把握できないまま、本試験に突入してしまう方も多いです。
難易度が低く、100点満点中40点もの配点が来るのが、工業簿記です。
苦手科目にしてしまうのは勿体ないので、解法を知り、得意科目にしましょう。(勉強法については、後述します。)
簿記2級の合格に必要な「勉強時間」
簿記2級に合格するためには、(独学合格を目指した場合)約250時間の勉強時間が必要になります。
簿記3級の合格に必要な勉強時間が約100時間でしたので、簿記3級の2~3倍の勉強時間が必要ということになりますね。
総勉強時間ではイメージがしづらいため、1日あたりの勉強時間に直してみます。
1日あたりの勉強時間(独学)
- 1ヶ月で合格を目指す場合:8時間20分
- 2ヶ月で合格を目指す場合:4時間10分
- 3ヶ月で合格を目指す場合:2時間40分
- 4ヶ月で合格を目指す場合:2時間10分
- 5ヶ月で合格を目指す場合:1時間40分
- 6ヶ月で合格を目指す場合:1時間20分
簿記3級は、1日3時間の勉強を1ヶ月続けることで、合格できた方もいるでしょう。
しかし、簿記2級は2~3倍の時間がかかるため、1ヶ月での合格は少し厳しいと思います。
そのため、簿記3級の頃と同じ感覚で挑戦すると、「難しい…」と感じてしまうでしょう。
簿記2級の勉強を始める前に、難易度の高さを理解しておくと、挫折するリスクを軽減できますよ。
目安としては、時間のある学生の方は1~3ヶ月で合格を目指し、時間のない社会人の方は3~6ヶ月での合格を目指すと良いでしょう。
簿記2級は、独学合格が可能な試験
簿記2級試験は、独学合格が十分可能な試験です。(私自身も、3ヶ月の独学で合格できましたからね。)
もちろん簿記3級に比べると難易度は上がりますが、「勉強方法」さえ間違えなければ、独学で合格できます。
独学で合格するための勉強方法は、次の記事で詳細に解説しています。
ただし、理解力に不安を感じている方は、スクールを利用してみても良いでしょう。
スクールによっては、申し込みの前に無料で講義を視聴できたりするので、実際に講義を見てから選ぶと損をしません。
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簿記2級の合格率と難易度まとめ
以上、簿記2級の合格率から見る、難易度をご紹介しました。
簿記2級は(簿記3級と同様に)「頭の良さ」はさほど要求されず、努力量が点数に比例する試験です。
現状は合格率の変動も落ち着いているため、範囲改訂がない今のうちに、勉強をスタートすると良いでしょう。
簿記2級はコストパフォーマンスの高い資格なので、ささっと取得し、就活やその先の資格に進みましょう。
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