こんにちは、公認会計士のロディです。
2013年に公認会計士試験に合格し、2021年から会計事務所を開業しています。
本記事では、そんな方に向けて、「働きながら公認会計士になれるか」解説します。
働きながら公認会計士になれる人の「割合」と「合格率」

(引用:公認会計士・監査審査会HP)
こちらの図は、最新の公認会計士受験生(合格者)の内訳です。
分かりやすく、色を付けています。
- 赤:働きながら受験した人
- 青:学生または無職専念の人
- 緑:その他
上図をベースに、2つの視点から考察しました。
1つ目は、「働きながら合格する人の割合」です。(つまり、全体でどのくらいの人が「働きながら」合格できるのかを示します。)
2つ目は、「働きながら合格できる確率」です。
働きながら合格できる人の割合
図を次のようにまとめました。
願書提出者 | 論文受験生 | 合格者数 | |
---|---|---|---|
働きながら | 3,645名 | 906名 | 205名 |
学生・無職 | 8,244名 | 2,683名 | 1,106名 |
その他 | 643名 | 203名 | 26名 |
合計 | 12,532名 | 3,792名 | 1,337名 |
まだ少しイメージが沸きませんので、全体を100%とした場合の、「働きながらの人」「学生・無職の人」「その他の人」の割合を示します。
検証
願書提出者 | 論文受験生 | 合格者数 | |
---|---|---|---|
働きながら | 29% | 24% | 15% |
学生・無職 | 66% | 71% | 83% |
その他 | 5% | 5% | 2% |
合計 | 100% | 100% | 100% |
願書提出の時点では、全受験生の29%の方が「働きながら」公認会計士を目指した方です。
そして短答式試験を突破し、論文式試験を受験することになった「働きながら」の受験生は、全受験生の24%に減っています。
さらに、論文式試験に合格できた「働きながら」の受験生は、全受験生の15%まで減っています。
結果
結果として、働きながら合格する人の割合は、勉強スタート時29%→合格時15%まで減っています。
約1,300名の合格者のうち、働きながら合格する人は約200名です。
また、この中には「会計事務所に所属されている方」など、会計・税務に関与した仕事をされている方が(少なくとも)90名以上います。
全く関連のない仕事をされている方は、おそらく100名以下でしょう。
働きながら合格できる「確率」
次に、合格率のお話です。
表をまとめると、それぞれの合格率は次のようになります。
検証
短答合格率 | 論文合格率 | 最終合格率 | |
---|---|---|---|
働きながら | 25% | 23% | 6% |
学生・無職 | 33% | 41% | 13% |
その他 | 32% | 13% | 4% |
合計 | 30% | 35% | 11% |
結果
「短答合格率」は、2回分を合計しています。(短答式試験は、年に2回ありますので。)
全体の短答合格率が30%(1回につき、15%の合格率)であるのに対して、「働きながら」の受験生の合格率は25%と少し下がります。
一方で「論文合格率」は、全体の合格率が35%であるのに対して、「働きながら」の受験生の合格率は23%と大きく下がっています。
この2つの影響により、最終的な合格率は6%となっています。
結論
働きながら公認会計士を目指す方の割合は、勉強開始時点では約3割ですが、合格時点では1~2割にまで減ります。
また、最終合格率は「無職・学生」の方が13%であるのに対して、「働きながら」の方は6%です。
このことから、働きながら受験すると、難易度が倍になると考えて良いでしょう。
働きながら公認会計士を目指した場合の、1日のスケジュール案

公認会計士試験に合格するためには、5,500~6,800時間という勉強時間が必要になります。
>>関連記事:会計士試験に4000時間で受かるのは無理です。本当の勉強時間は?
また、平均勉強期間は2~3年です。
つまり、1日あたりの勉強時間に直すと、1日6時間~8時間を勉強に充てる必要があります。(土日問わず)
これを参考に、具体的な「1日の勉強スケジュール」を考えてみましょう。
1日のスケジュール例
- 0~6時:睡眠
- 6~8時:勉強
- 8~17時:仕事+移動
- 17~20時:ご飯+お風呂+フリー
- 20~24時:勉強
これで1日6時間勉強できます。(休日はもう少し多く勉強した方が良いでしょう。)
この生活を毎日2~3年間続けると、合格できる計算です。

学力に自信のある方は、もっと短時間で合格できると思います。
また、「会計・税務」に関する仕事をされている方も、下地ができているため、もう少し短時間で合格できるでしょう。
働きながら公認会計士になった方の事例をご紹介

私の身近にも、社会人として働きながら公認会計士になった方がいます。
1名は、BIG4のコンサルで働きながら、1年で公認会計士になった方です。
もう1名は、監査法人のトレーニーとして働きながら合格した方です。
監査トレーニーとは?
大手監査法人の職員として監査業務に就きながら、会計士受験の援助を受けられる制度です。(制度の有無は、監査法人ごとに異なります。)
実務を学びながら予備校代の援助を受けられるので、勉強の質を上げ、低コストで公認会計士試験を受験できるようになります。
監査トレーニー制度は、「働きながら合格」に最も適した制度であると思います。

監査トレーニー制度について、詳細は次の記事でお話しています。
>>関連記事:監査トレーニー制度とは? 働きながら合格できる?
「働きながら合格」に特化した予備校もある

公認会計士には「独学」という選択肢はありえませんので、予備校を選ぶことになります。
>>関連記事:公認会計士試験に独学で受かる事は無理?
公認会計士講座を開講している大手予備校は、次のとおりです。
大手予備校一覧
- TAC
- 大原
- LEC
- CPA
- クレアール
規模の大きさとしては、TACと大原が最も大きく、次いでLEC、CPA、クレアールとなっています。
このうち、クレアールは「働きながら合格」に特化した予備校として有名です。
「働きながら、かつ時間をかけずに合格したい」という方向けの予備校ですね。
>>関連記事:クレアール公認会計士講座の評判と口コミ
上述した「勉強時間」のうち、ムダな部分を削減できるかもしれません。
このような予備校は珍しいので、パンフレットなど、1度読んでみる価値はあるでしょう。
>>クレアールなら、無料で資料請求が可能です。
今なら、無料で一部講義が見れるようです。
働きながら公認会計士になれる人の特徴。

以上を踏まえ、働きながら公認会計士になれる方の特徴です。(あくまで目安です。)
- 有名大学出身
- 経理部や会計事務所勤務で、実務経験がある
上述の方や、有名な社会人合格者の経歴を調べてみても、上記のいずれか(もしくは両方)が該当します。
基礎学力に自信がなく、かつ会計・税務に関する仕事をせずに働きながら公認会計士を目指した場合、苦戦を強いられる可能性は高いです。
僕のTwitterのフォロワーさんにも、働きながら公認会計士を目指している方がいます。
ある方は、仕事が終わって20時~夜中2時まで勉強して寝る、という生活をされてました。(僕にはとても、真似できない…。)
【限定記事】働きながら会計士になるための勉強法

勉強時間の部分でもすこし触れましたが、基本的に、公認会計士になるためには(2年間で)5,500時間という膨大な勉強時間が必要になります。
そこで、勉強時間を大幅にカットする勉強法が必要になります。
たとえば、もし勉強時間を1,100時間減らすことができたら、1日あたり6時間で合格することができますよね。
ポイントは、効率を徹底的に重視することです。
かなり詳細に書いたため、多くの社会人受験生の参考になるかと思います。
>>note:社会人が働きながら公認会計士試験に受かるための具体的手法
なお、限定のため有料記事ですが、全額返金OKです。
働きながら勉強した場合の、メリットとデメリット

本記事を読んでいただいている方には、「そんなの分かってるよ!」と言われてしまうかもですが、ここで改めて「働きながら勉強する場合のメリット・デメリット」を確認しましょう。
メリット
- 仕事を失わないため、経歴に「空白期間」ができない
- 収入が発生し続けるため、「現状の生活」を維持できる
メリットは2つありまして、「空白期間ができないこと」と「生活を維持できること」です。
特に「安定志向」の方は、空白期間を気にされるようです。
確かに、「万が一ダメで、公認会計士を諦めた」という場合、経歴が一切傷つかないのは、ある意味でリスクヘッジになるでしょう。
デメリット
- 難易度が高いため、受験期間が長引く可能性がある
- 仕事がキツい時でも、毎日勉強し続けなければならない
- 仕事を辞めるタイミングが難しく、就活対策をあまりできない恐れがある
現実的なデメリットとして、「体力」「精神」に非常に負荷がかかります。
仕事をしていると、精神的なストレスや、体力的な疲労がありますよね。そんな時でも「勉強」をしなければならないのは、相当キツいでしょう。
また、そもそも難易度が高いため、「当初の想定よりも勉強期間が長引いてしまう」というリスクもあります。
そして「就職」の問題も一応あります。
平日に仕事をしているため、就職活動は土日に限定されます。そして、就活期間はたったの3週間しかないので、仕事をしていると選択肢が減ります。
まとめ:時間はあるので、判断は慎重に。

まとめです。
- 働きながら公認会計士を目指した場合、難易度が2倍になる
- 基礎学力や、職務経験があると合格しやすい
- 社会人に特化した予備校もある
- 「監査トレーニー」はオススメ
- メリット・デメリットを比較して、判断しよう。
「公認会計士を目指す」という判断は、人生において結構大きな判断になると思います。
そのため、「よく分からないけど、とりあえず挑戦してみるかな」という感じで目指すのは、(個人的には)あまりオススメしません。
ぜひ、しっかりと情報を収集し、慎重に判断してください。
効率的に情報を集めたい場合は、予備校のパンフレットを手に入れることをオススメします。
合格者の「体験記」や「実際の勉強スケジュール」など、リアルな受験生活を、さらにイメージできるようになります。
>>クレアールなら、無料で資料請求が可能です。
一部の講義が無料で付いてきますから、予備校選びにもなって一石二鳥ですね。