こんにちは、公認会計士のロディです。
「公認会計士の繁忙期がいつなのか知りたい。」
「公認会計士の繁忙期は、どのくらい忙しいのか知りたい。」
こんな疑問に答えます。
本記事の内容
- 繁忙期の時期
- 繁忙期の忙しさ
- 閑散期の時期
- 繁忙期は、複数あるという話
ちなみに、僕自身も現役の公認会計士でして、繁忙期を何度も経験しています。
会計士を3,000~4,000人くらい抱える監査法人にいたので、大体の業界スタンダードは分かります。
公認会計士の繁忙期
公認会計士の仕事には、繁忙期があります。
繁忙期というのは、文字どおり忙しい時期のことです。
まずは、その時期についてです。
結論
結論から言うと、次の時期です。
これだけだと訳が分からないと思いますので、解説します。
解説
公認会計士は、その多くが「監査法人」という組織で働いています。
監査法人では、「監査」というサービスを提供します。
監査法人のクライアントは、会社です。
そして、すべての会社は年に1度「決算」というものを行います。(例外もありますが)
その「決算」の時期の翌月~翌々月が忙しくなるのです。
なぜ決算月ではなく、翌月~翌々月なのかというと、それは「監査」というサービスの性質から来ます。
監査とは、企業の作成した情報を2次的にチェックすることを言います。
たとえば3月決算会社の場合、企業は4月1日~3月31日までの情報をまとめます。(決算整理といいます。)
決算整理作業は、3月31日中に終わるものではなく、通常5月初旬までかかります。
一方、監査ではこの決算整理が正しいかどうかを確認しますので、4月~5月の中旬まで作業しなければならないのです。
公認会計士の繁忙期は、具体的にはこの時期
ここまでは抽象的でしたので、ここからは具体的にどの時期が忙しいのかご説明します。
原則:4~5月中旬が忙しい
日本にある会社の多くは、決算月を3月と決めています。
なお、海外の企業は12月決算の会社が多いです。
日本の監査法人のクライアントは、多くが日本の会社になりますので、3月の翌月~翌々月すなわち4~5月が忙しくなります。
例外:変則決算期への対応
多くが3月決算ではあるものの、そうない会社もたくさんあります。
例えば、アパレル企業は2月決算が多いイメージです。
2月決算の会社の場合、3~4月が忙しいというわけです。
繁忙期は、人によって異なる
実は 同じ監査法人内でも、人によって繁忙期が異なります。
ここで、監査法人での仕事をもう少し詳細にイメージしてもらおうと思います。
監査法人では、必ず「チーム」を組成して動きます。
チームは会社ごとに組成され、例えば「CPA株式会社」というクライアントがあれば、「CPA株式会社の監査チーム」を組成します。
そして、必ずしも公認会計士1人につき1チームへの配属となるわけではなく、多くの場合、複数の監査チームに所属する事になります。

たとえば、次のようなチームに所属していたとします。
- 3月決算の会社:2社
- 2月決算の会社:1社
- 12月決算の会社:1社
すると、この人の場合は3~4月、4~5月、1~2月が繁忙期ということになります。
これはほんの一例ですので、例えば所属するすべてのチームの担当会社が3月決算、なんてこともあります。
要は、人によって繁忙期は異なり、複数になる場合もあるということです。
ただ、傾向としては3月決算会社のみ担当、ということは少ないです。
公認会計士業界は人手不足ですので、暇そうな時期がある人は、変則決算のチームも担当させられます。
突発事項が起こると、決算以外でも繁忙期になる
ここまでで、決算の翌月~翌々月が忙しいよというお話をしました。
しかし、例外的に突発事項が発生すると、決算以外でも繁忙期になり得ます。
突発事項は、たとえば次のとおりです。
- クライアントで不正が見つかる
- 過去の情報に誤りが見つかる
イメージしやすいのは、不正ですね。
不正が見つかった場合、公認会計士は大忙しです。
なぜ起きたのか?他の拠点で起きていないか?対応策はどうするか?等
作業量が急に増えますので、一気に繁忙期になります。
どの程度の期間忙しいのかは、ケースバイケースです。
ただし、このような突発事項はとても例外的です。
感覚的ですが、4~5年に一度遭遇するかな、という程度です。

貴重な経験なのですが、けっこう大変です…。
公認会計士の繁忙期は、何時間くらい働く?
多くの場合、繁忙期は月に100時間近くの時間外労働が発生します。(もちろん残業代は出ますよ。)
4月だけは期間限定で土曜日を出勤日扱いにする監査法人も多いので、週6日勤務で1日4時間残業、というイメージです。
多くの監査法人は「7時間勤務」なので、1日11時間拘束されます。
結構ハードですよね。
繁忙期は1ヶ月ちょっとで終わるので、その1ヶ月を我慢する感じです。
ただ、忙しさもチームによりますので、たとえば4月でも60時間程度の残業時間で収まる人もいます。
なお、公認会計士の過重労働は業界として問題となっており、年々残業時間を減らす方向に動いています。(特に、BIG4等の大手監査法人。)
公認会計士の閑散期は、どのくらいの忙しさ?
ここまでは、繁忙期についてお話しましたが、実は閑散期もあります。
ほんの一例ですが、たとえば3月決算会社の監査チームのみに配属された会計士の忙しさは、次のとおりです。
- 1月:少し忙しい
- 2月~3月:普通
- 4月~5月:激務
- 6月:普通
- 7月:少し忙しい
- 8月:閑散期
- 9月:普通
- 10月:少し忙しい
- 11月:閑散期
- 12月:普通
どんなチームに配属されるのかによりますが、例えば傾向として、8月・11月は閑散期です。
特に8月は、監査法人も独自の休日(4月の土曜日を出勤日にしたことにより、代休を8月に取らせる)が作られ、3週間程度休暇をとる会計士も数多くいます。
閑散期は、出勤日でも毎日定時で帰れることがほとんどです。
繁忙期と閑散期の差が激しいのが、監査法人の特徴です。
ちなみに、年次が上がるにつれて忙しくなり、年間の休みは減る傾向にあります。
監査法人以外のケース
ここまでは、監査法人勤務の会計士限定のお話でした。
監査法人以外の勤務先は、たとえば次のとおりです。
- 一般企業の経理
- コンサルティング会社
- 会計事務所
他にもたくさんありますが、ここでは簡単に解説です。
一般企業の経理に就職された場合、繁忙期の時期は、監査法人の繁忙期とさほど変わりません。
ただし一般企業の経理の場合、自らの会社のみに所属しますから、決算期は1つだけとなり、1年中繁忙期であるようなことは少ないでしょう。(ファンド等のように、毎月決算期のある会社もありますが。)
コンサルティング会社に就職された場合、すべてはプロジェクト単位で動くため、繁忙期はあまり決まっていません。
会計事務所の場合は、税務申告にも関わっている可能性がありますので、1月~3月は忙しい可能性があります。
繁忙期が予め分かっているのが、監査法人の強み
予め忙しい時期が分かるので、プライベートの予定を立てやすいのが監査法人の強みですね。
会計士業界はまだまだ人手不足です。
公認会計士試験に合格すれば、ほぼ監査法人に入所することができます。
関連記事:公認会計士の年収はどのくらい?【給料明細をお見せします。】
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