京都大学

再エネ大量導入を前提とした分散型電力システムの設計と
地域的な経済波及効果に関する研究プロジェクト

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【部門A】再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資に関する研究

【部門B】再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンスに関する研究

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平成30年度 第1回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会
研究会
研究会
於:京都大学

 2018年7月3日(月)16時〜18時、本科研費プロジェクトの平成30年度第1回【部門B】研究会が京都大学にて開催されました。今回の研究会では、ラウパッハ先生(立命館大学)、中山先生(京都大学)の2名から報告頂きました。

■Research Project (Draft Proposal) (ラウパッハ先生)
私の研究動機は、「地方公営企業であるシュタットベルケを、なぜ自治体がやらなければならないのか、それは第三セクターではないか、既に失敗した」と言われることだ。これに反対するための理論武装をしたい。そのために、公益性を社会インフラ事業として検証する。実証研究を通じて、地方公営事業が地域の経済社会に貢献する貢献度を定量的に評価する、そのモデルを構築したい。

今までは、地域付加価値分析だった。これからはもっと広く、地域貢献は民間もできるので、なぜ公益性を重視しているのかというところに取り組む。仮説は、日独で、ビジネスモデルとガバナンス体制が違う。もちろん環境も違うが、その違いでどういう帰結が生じるか明らかにしたい。

住民に与える価値を定量化する。ミッションが民間とは違う。民間企業は消費者満足を追求するが、公営は公益性・社会厚生を改善する。たとえば貧困を下げるとか、外部費用を内部化するといったものだ。社会的なアウトカムを実現する手段として事業をやる。社会全体がお客さんになる。したがって、パフォーマンス評価指標も民間と異なるものでなければならない。論理的な根拠を多面的に吟味する必要がある。

ウッパタール研究所の議論がきっかけだった。彼らは市民価値という言葉を使っていた。シュタットベルケもそうだ。ごみ収集車の市民価値を定量的に評価している。ドイツも、パブリックバリューもある。いわゆる行政学の中で注目されている概念だ。それをどう測るのか。

経営指数を洗い出す。これができれば、エネルギー自治の論理的裏付けになるのではないか。日本以外での行政学の中では、大きなうねりになっているようです。世界では次の段階にいっている。日本とドイツを用いてテストしたい。ドイツと日本の公営企業の比較をする。総合インフラサービスなので、相乗効果と、赤字分野の補てんという役割がある。地域ガバナンスのあり方も異なる。事例研究をつかう。次は世界を規模にする。定量的なテスト。仮説の検証と大きな分析をするための段取り。

今日は論理・理論に集中する。坂本さんがサポートしてくれた。経済学では、社会的共通資本、コモンズのような概念がある。行政学では、95年のM.Moore「Creative public value」。などがある。ここで顧客志向を導入した。効果的経営を進めた。イギリスの学者Talbotさんが行政のパフォーマンスを評価しようとしている。日本で公民連携論をやっている人もいる。政治科学では、生活権、公共権などがある。経営学では、ポーターが共有価値を提供することで競争力を発揮する。

公共財・共有財・私的財・クラブ財は社会的な選択で決まる。社会の価値観で決まる。価値観を決める側面を洗い出す。制度的な過程、地域ガバナンス論も織り込んで貢献度を測る。

3つの研究チームを考えている。まず経営指数をつくるチーム。たとえばレジリエンスをどう測るか。学者を集めてパブリックバリューを考えるアドバイザリーパネルをひらく。財務的なパフォーマンスのデータベースをつくる。ドイツにはある。ビジネスモデルを比較する。

■人口減少社会における、SDGsとRE100%を達成するための、セクターカップリングを踏まえた、自治体レベルのエネルギーシナリオの構築、その地域付加価値創造分析(中山先生)

国外の自治体は独自に将来の需要予測をしている。日本でも必要ではないか。熱事業をどう考えるか。オンサイトにこだわらなければRE100%だと言える。自治体によってはエネルギー需要が増えるところも出てくるのではないか。北陸にアルミ精錬が集中していたように。風力が豊かなところに産業が集まるかもしれない。西粟倉村だったら小さいが。将来のことを現在を延長して、シナリオごとに計算する。需要サイドから再エネの導入を訴える動きが出てきてもいいはずだ。FITは事業者に向けた政策だったが。

RE100に関して、CDPは自治体もやっている。WFCも。シエラクラブもある。いろんなポータルがある。日本もISEPと気候ネットワークが集めている。将来シナリオはこういうものをひな型にすれば書けるのではないか。地産地消した場合にどうなるのか、オフサイトの場合はどうか、できる。熱事業は今小川さんが西粟倉村でやっている。コミュニティサービスが入ったらどうなるのか。SDGsの先の20年に対してサジェスチョンをしたい。

Research Project (Draft Proposal) (ラウパッハ先生)

Research Project (Draft Proposal) (ラウパッハ先生)

人口減少社会における、SDGsとRE100%を達成するための、セクターカップリングを踏まえた、自治体レベルのエネルギーシナリオの構築、その地域付加価値創造分析(中山先生)

人口減少社会における、SDGsとRE100%を達成するための、セクターカップリングを踏まえた、自治体レベルのエネルギーシナリオの構築、その地域付加価値創造分析(中山先生)

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質疑応答

質疑応答

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平成29年度 第3回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する欧州調査
研究会
2017年11月27日(月)〜12月1日(金)
於:欧州(ノルウェー、デンマーク、ドイツ)

 2017年11月28日(月)から12月1日(金)まで、本科研費プロジェクトの【部門A】欧州調査が実施されました。今回の主な訪問先は、分散型電力システムを前提とした卸電力市場に関わる行政機関や研究所等でヒアリング調査を実施した。欧州調査は、諸富徹先生(京都大学)、東愛子先生(尚絅学院大学)、中山琢夫先生(京都大学)、小川祐貴さん(京都大学)、山東晃大(京都大学)の5名で行われた。

 今回の調査目的は、「卸電力市場の創設・育成・改革をどのように成し遂げて、柔軟で効率的な電力市場を実現したか」という点に焦点をあてた。また、電力市場を育成するにあたり、政府はどのように関わってきたのかを調査対象とした。また、それらの取り組みを通して経験した困難や障害について、現地に赴いて担当者から話を聞いた。

 そのため今回の調査では、卸電力市場の改革で先進的な取り組みを行っている「北欧」と「ドイツ」に焦点を絞り、ヒアリング先を決定した。
 
 今回の調査では、計10の訪問先から貴重なお話を聞くことができ、担当者と議論ができた。(訪問先は、行程表参照)

 これらの各訪問先で得た知見と議論内容を訪問報告書(下記参照)を記録した。

 これらの調査を経て、EUの電力市場は定期的に議論と改善を繰り返して試行錯誤してきた歴史がある。そのため、欧州各国に多少差はあるが、卸電力市場の取り扱い電力量は増加している。試行錯誤した過程で行われた議論やその決定要因は、電力市場の改革に関する議論が求められる日本においても参考になると思われる。今後、欧州調査で得た電力市場改革と過程を分析し、日本の電力市場改革の推進に活用することを目指す。

欧州調査スケシ?ュール

欧州調査スケシ?ュール

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Nord Pool 訪問報告書

Nord Pool 訪問報告書

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NVE 訪問報告書

NVE 訪問報告書

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State of Green 訪問報告書

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Ea Energy Analysis 訪問報告書

Ea Energy Analysis 訪問報告書

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Energinet.dk 訪問報告書

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DIW 訪問報告書

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Elia Grid International 訪問報告書

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EEX 訪問報告書

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BnetzA 訪問報告書

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Amprion 訪問報告書

Amprion 訪問報告書

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平成29年度 第3回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会
研究会
2017年10月27日(金)
於:京都大学東京オフィス

 2017年10月27日(金)9時〜13時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が、京都大学東京オフィスにて開催されました。今回の研究会では、@東京大学の近藤先生、AATカーニー株式会社の笹俣さまと筒井さまから報告頂きました。


■電力市場の将来予測〜自由化後の発電コストシミュレーションとその示唆〜
笹俣さま、筒井さま(ATカーニー株式会社)

 これまで発電コストが試算されたモデルプラントとは、現時点で新設された場合を想定している。しかし、実際の社会コストの試算には、現存する発電所を織り込み、社会が負担するコストを試算した。また、新設モデルプランのコスト試算を前提とした発電ミックスの計算も再度検討が必要である。本研究では、複数の発電ミックスを想定してシミュレーションした。
(将来の電力需要の見立ては配布資料参考)


 発電のミックスの最大の変動要素は原子力発電なので、原発再稼働にあたっての経済性から廃止と再稼働の可能性を見立てた。その結果、21GWから38GWとなり、2030年時点で原発比率は、12から22%となった。原発比率から再エネ電源比率を見てると、政府の2030年目標である22から24%の導入量は大幅に上回るとみられる。
 これらから発電コストのシミュレーションについて、(配布資料pg28以降参考)供給力確保のために、地方や家庭用需要では分散型電源優位になる可能性がある。
 今後の検討課題として、カーボンプライシングの織り込みと、バックアップ電源と系統増強のコスト織り込みが求められる。

電力市場の将来予測〜自由化後の発電コストシミュレーションとその示唆〜

電力市場の将来予測〜自由化後の発電コストシミュレーションとその示唆〜

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質疑と議論(近藤先生)

質疑と議論(近藤先生)

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質疑と議論(笹俣さま、筒井さま)

質疑と議論(笹俣さま、筒井さま)

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平成29年度 第3回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会
研究会
2017年8月2日(水)
於:京都大学東京オフィス

 2017年8月2日(水)13時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が、京都大学東京オフィスにて開催されました。今回の研究会では、@名城大学の李先生から「日本のパリ協定実現に向けた炭素税制改革と持続可能な電源ミックス」について、A立命館大学の竹濱先生から「風力/太陽光の系統連系、系統運用の制度、ドイツと日本の比較について」について報告頂きました。

■日本のパリ協定実現に向けた炭素税制改革と持続可能な電源ミックス
李先生(名城大学)

 パリ協定に参加する日本は、2030年温室効果ガスの削減を約束した草案(NDC)を守るために、炭素対策コストと経済への影響が考えられる。研究では、これらの影響をE3MEマクロ計量モデルを用いて推定した。
 また、化石燃料由来の発電や原子力発電に対する規制や、再生可能エネルギー電源に対する支援制度が実現した場合の電源構成・二酸化炭素排出量・経済への影響をE3MEマクロ計量モデルを活用した。
(計算については、配布資料参照)

■風力/太陽光の系統連系、系統運用の制度、ドイツと日本の比較について
竹濱先生(立命館大学)

 再生可能エネルギーの大量導入が進んでいる今、今後同様の状況が見込まれる日本においても、再エネの大量導入時代を見据えた電力システムの構築が必要不可欠になる。そこで、先進地であるドイツの電力システムと日本の電力システムを比較する。
 ドイツのエネルギー政策は、EEG法に基づいている。EEG2016には、送電事業者(TSO)と配電事業者(DSO)は物理的に優先送電とその増強時の負担をすることが義務付けられている。そのため、基本的に太陽光や風力の出力を前提とした電力システムに切り替えている。たとえば、50Hertz管内だけでは、太陽光や風力の出力変動を吸収できない場合は、国際送電線や隣のTSOに送電する。これらを前提に、送電線の増強計画が実施される。一方、日本における系統増強の規則は、再エネ発電所から最初の変電所までの電源線の負担は、原因者である再エネ発電事業者の負担とされている。
 このように、ドイツと日本では再エネに対する考えが違っているため、再エネ導入を前提とするドイツのエネルギー政策と差が出てくる。ドイツの電力システムから得られる日本への示唆は、卸電力市場の閉場時刻をギリギリまで短縮することで需給調整しやすくすることと、地域間融通の促進をすることが求められる。

日本のパリ協定実現に向けた炭素税制改革と持続可能な電源ミックス(李先生)

日本のパリ協定実現に向けた炭素税制改革と持続可能な電源ミックス(李先生)

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風力/太陽光の系統連系、系統運用の制度、ドイツと日本の比較について(竹濱先生)

風力/太陽光の系統連系、系統運用の制度、ドイツと日本の比較について(竹濱先生)

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質疑と議論(竹濱先生)

質疑と議論(竹濱先生)

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平成29年度 第2回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会
研究会
2017年7月3日(火)、於:京都大学

 2017年7月3日(月)14時〜18時、本科研費プロジェクトの平成29年度第2回【部門B】研究会が京都大学にて開催されました。今回の研究会では、小林先生、佐無田先生(金沢大学)の2名から報告頂きました。

■社会参加の再エネ開発を起点とする農山村コミュニティの自立の持続戦略(小林久先生)
 農山村地域における今日は、市町村合併で地域が広域化し、学校の統廃合が進んでいる。その中で、再エネ開発を起点とする取り組みが増えているが、@系統接続の制約、A専門家によるミスリード
(不適切な計画開発、自立マインド削ぐ、永続性のないコミュニティ)、B系統募集プロセスの非効率性(何度も入札を繰り返す)という問題が起きている。
 地域の永続性を維持するためには、@生活できる経済環境がある(雇用、移住に寛容、資金循環)、A住民の健康と元気(公衆衛生)、B幸せな社会と思いやりと信頼のある社会(豊かな人間関係)が求められる。
 そこで、再エネ開発起点の地域づくり方策と構築アプローチの提案、域内経済波及効果とコミュニティの健全に関するアンケート調査を実施しました。

■オレゴン州のエネルギー転換ガバナンスとクリエイティブ・コミュニティ(佐無田先生)
 全米で最も住みやすい都市と言われているオレゴン州ポートランドは、1972年のダウンタウンプランなど古くから独自の都市計画と交通政策に取り組んでいた。また、再開発反対運動をきっかけに生まれた住民自治組織が、ポートランド市近隣計画局が中心となって、市内の都市計画に参加できる仕組みがある。そして、自転車や地産地消など持続可能性や創造性を重視する市民性を備えている。
 このような取り組みを継続的に行われたことで、ハイテク産業などの誘致やスタートアップの仕組みなどがうまく形成されている。また、エネルギー政策においても、1977年より市のエネルギー室と市民参加のエネルギー委員会が設置され、1990年にはエネルギー効率の向上目標を達成した。そのようなポートランドでも、不動産価値急騰やホームレス人口増加などの課題が増えている。
 そのなかでオレゴン州では1979年に原発の稼働を停止し、推力をはじめ、再生可能エネルギーの導入を促進した。また、太陽光工場の誘致や、水力の安い電力による半導体産業の誘致などを進めた。現在は、2050年までにCO2を80%削減することを目標にしたポートランド気候対策計画に基づいて取り組んでいる。
 オレゴン州では、電力事業者再構築法によって、電力料金の3%を基金化して、再エネと省エネプロジェクトに投資する仕組みを作った。これらのプロジェクトの実行は、Energy Trust of Oregonを設立した。2015年には、83000以上の地点に1.6億ドルを投じた。他にもグリーンビルディング政策で、すべての公共施設に持続可能な建物に与えられるLEED認証の取得を義務化した。
 このように、オレゴン州は市民レベルと協働で都市計画?環境政策?産業政策に関わっている。また、小規模プロジェクトを支援するために政策的にファンドを実施して、市民活動を活発化させている。

オレゴン州のエネルギー転換ガバナンスとクリエイティブ・コミュニティ(佐無田先生)

オレゴン州のエネルギー転換ガバナンスとクリエイティブ・コミュニティ(佐無田先生)

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質疑と議論(小林先生)

質疑と議論(小林先生)

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質疑と議論(佐無田先生)

質疑と議論(佐無田先生)

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平成29年度 第2回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会
研究会
2017年6月29日(木)
於:イオンコンパス東京駅前会議室

 2017年6月29日(月)13時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が、イオンコンパス東京駅前会議室にて開催されました。今回の研究会では、@京都大学の小川祐貴さんから「Nord Poolの市場設計と運用」について、A尚絅学院大学の東愛子先生から「デンマークの電力市場制度と再エネサポート政策が再エネ事業者の市場行動位与える影響」について報告頂きました。

■Nord Poolの市場設計と運用(小川さん)
 小川さんからは、2017年4月にヒアリング調査に行った電力卸売市場のNord Poolについて報告頂きました。
 北欧4カ国では、周辺諸国に先駆けて電力市場を統合したNord Poolを開設した。現在Nord Poolでは、総電力需給の約85%が取引されている。資本構成は、北欧4カ国とバルト三国のTSOが出資している。
 Nord Poolのミッションは、@電力について流動性が高く、安全な卸売市場を提供すること、A電力卸売市場について正確でタイムリーな情報発信で透明性を確保する、B市場に対する平等なアクセスを提供する、Cずべての取引を仲介して決済と供給を保証する

 Nord Poolの取引電力量は、北欧バルト諸国の前日市場(391TWh)、英国前日市場(109TWh)、当日市場合計(5TWh)で、取引量の99%は前日市場になっている。
 Nord Pool会員は380団体ある。会員タイプには、@参加者メンバー、A顧客メンバー、Bスモールメンバーの3種類あり、それぞれ会員費とサービスが違う
 電力取引におけるNord Poolの役割は、前日市場(Elspot)と当日市場(Elbas)を担う。金融市場が担う長期契約と、TSOが担うバランス市場とインバランス取引の間をNord Poolが担う。 
 グロスビディングとは、発電部門と小売部門の両方を持つ電力会社が、グループ内取引をスポット市場に移行するものである。Nord Poolが、発電と小売の取引量が増加することでシステム価格がより安定する。リーマンショックで相対契約のリスクが顕在化したことで、取引量が減少したが、電力消費に占めるシェアは増加した。

Nord Poolは透明性と平等なアクセスをミッションとする電力市場
 ・間接オークションによる送電線容量の割当
 ・グロスビディング

EU全体で電力市場間の協調と競争
 ・前日市場における市場カップリング
 ・XBIDの実現に向けた動き
 ・イギリスとドイツにおける市場間の競争

注:前日市場、当日市場、XBIDの詳細に関しては配布資料参照

■デンマークの電力市場制度と再エネサポート政策が再エネ事業者の市場行動位与える影響(東先生)

 東先生からは、デンマークの電力市場制度と再エネサポート政策が再エネ事業者の市場行動に与える影響について報告頂きました。
 研究の問題意識としては、デンマークではなぜ風力の電力抑制(Curtailment)が少なく、そのまま風力を電力市場に入れることが問題視されないのか?そして、再エネの支援政策と電力市場制度をに着目して、その要因を明らかにする。
 デンマークにおける再エネサポート政策が、電源や送配電に接続した時期によって異なる。再エネサポートは、消費者の電力料金に含まれた特別なサーチャージPSO(Public Service Obligation)によって賄われる。
 デンマークの再エネ政策で特徴的なのは、再エネサポートの期間を年数ではなく、平均22000時間までの稼働(Full load hours)までサポートが受けられる。稼働期間ではなく、稼働時間にすることで、収入の心配をせずに需給調整や抑制に対応することができる。
 風力発電のサポートには4種類ある。一つ目は、スポット市場価格にかかわらず25オーレ/kWhが上乗せされるケース。二つ目は、トータルの収入が固定されているケース。三つ目は、スポット市場価格と入札で勝ち得た価格の差を受け取るケース。四つ目は、年間で固定のサポートを受け取るケース。
 日本の陸上風力発電においても、今後出力抑制が想定される。今後FIT20年のサポートから、PSO型の稼働時間に基づく再エネサポートが必要とされる。
 デンマークとドイツともに再エネのサポートは、FIT?FIP?プレミアを入札で決定する方法に移行している。再エネ政策が事業者の行動に与える影響の論点は3つある。
 まず、ここで重要なのはネガティブプライス時のサポートの有無である。サポートがあると、市場価格+プレミアム>0円となれば、電力を得るインセンティブが生じる。一方、サポートがない場合、発電事業者は発電を自主的に停止させてしまう。
 次に、再エネサポート期間が稼働時間で設定される場合、発電を停止させてもプレミアムが失われるわけではない。出力抑制時に稼働期間ベースであれば発電の停止を躊躇するが、それを避けることができる。
 最後に、風力発電がプレミアムを得ることができなくても、市場実働の直前の予測エラーから生じるインバランス料金を抑制するインセンティブが働くことによって、バランシング市場で追加の収入が得られる可能性が考えられる。
 今後の方向性としては、再エネサポート政策と電力市場設計のinteractionが、効率的な安定性確保につながるかどうか検討する。

Nord Poolの市場設計と運用(小川さん)

Nord Poolの市場設計と運用(小川さん)

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デンマークの電力市場制度と再エネサポート政策が再エネ事業者の市場行動位与える影響(東先生)

デンマークの電力市場制度と再エネサポート政策が再エネ事業者の市場行動位与える影響(東先生)

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質疑と議論

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平成29年度 第1回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会
研究会
研究会
2017年5月30日(火)、於:京都大学

 2017年5月30日(火)13時〜18時、本科研費プロジェクトの平成29年度第1回【部門B】研究会が京都大学にて開催されました。今回の研究会では、中山先生(京都大学)、太田先生(静岡大学)、八木先生(九州大学)、荻野先生(東京大学)の4名から報告頂きました。

再生可能エネルギーの電力市場化の段階論(中山先生)
 中山先生からは、ドイツにおけるVPP(Virtual Power Plant)のビジネスモデルを事例に、VPPの電力市場における将来の見通しと、FIT(固定価格買取制度)以降の予測される変化について報告頂きました。
 ドイツでは日本の一足先に、再生可能エネルギーの大量導入時代に向けて、電力市場の整備が行われた。課題としては、@安定した電力供給のための調整力は確保できるか、A民主的な小規模発電事業者は生き残れるか、BVPPの出現が挙げられる。
 ドイツの電力市場では、この20年で大きく変化した(資料pg9-12参照)。その中で、バイオガス発電(CHP)による柔軟な供給で、不安定な再エネを吸収したと見られていた。
 しかしその実際は、調整電力必要量の減少と、当日市場での取引の活発化が見られる。これは、インバランス料金による罰則の強化が大きく影響していると見られる。できるだけ直前の当日市場で、できるだけ短期で、正確に、余剰電力や付属する電力を取引する傾向にある。また、天気予報技術の向上や、リアルタイムデータの技術向上など他の要因も考えられる。
 その中で注目されているVPPについて、Next Kraftwerk社を中心に挙げる(資料pg29-40参照)。VPPにとって、売電量とタイミングや価格をVPP側で調整できるため、調整電源市場(TSO)に売電するよりも当日市場は優位に働く。
 今後、再エネ大量導入時代を迎えると思われる日本でもVPPの優位性など、ドイツと同様の減少が見込まれる。

スキーリゾート地域の再生に向けた小水力発電の可能性(太田先生)
 長野県白馬村はスキーリゾートをはじめとする観光産業が栄えている。その中で、背景にある北アルプス山脈の恩恵を受けた小水力発電がいかに地域再生や観光と相乗効果を見込むことができるか述べている。
 白馬村は20年前に比べて、観光客数も村民減少している。観光で最も大きな課題は、観光客が時期によって大きく変動するため、これらの平準化が求められている。
 その中で、白馬村では平川で小水力発電所が稼動した。近くの土地改良区が発電を担っており、発電収益は主に土地改良区における歳出に充てている。
 スキーリゾート地域には、観光シーズンと農業シーズンが分散しているため、観光と農業を合わせた雇用モデルが必要である。それを実現させるためには、再生可能エネルギーから得た収益で村内事業に再投資する仕組みが必要である。

まちづくりにおける「飯田モデル」の検証(八木先生、荻野先生)
 まちづくりにおける「飯田モデル」は、まちづくりの主体である住民と、それを支援する行政の両輪がうまく機能している。
 多くの自治体では、三位一体改革など地方自治改革で、住民自治と団体自治のバランスが崩れ、地方自治体が中心となる団体自治に傾いている。地方自治組織における目指すべき分権型社会において、団体自治と住民自治のバランスが大事である。
 飯田市における地方自治組織図は、添付資料(pg6)の通りである。飯田市が地方自治組織を導入する前は、各地区における案件に関する役所の対応は担当課ごとに窓口が分散していた。しかし、地方自治組織導入後は、各地区のまちづくり委員会が核となり、自治振興センターをサポートを受けて、市役所とのやりとりと調整を担っている。
 飯田市における地方自治組織の特徴としては、@住民組織である各地区のまちづくり委員会も地方自治組織に含めている、A自治会などから選出された委員によって構成されるまちづくり委員会と地方の実情に合わせた専門部会の設置、B公民館の役割の大きさ、C自治振興センターによる各地区の支援が挙げられる。
 飯田市における主な地域自治組織の仕組みは、資料(pg9)の通りである。しかし、各地区がそれぞれ地域の実情に合わせて形成されているので、それぞれ中身が違う。今回調査した3地区(丸山、山本、上久堅)のまちづくり委員会内に設置されている専門部会は違う(資料pg.15参照)。

 丸山地区は、風越山麓わくわくプロジェクトを通して、地域団体等の関係性が緊密になって保全活動や学習活動が活発化している。山本地区では、まちづくり委員会会長のリーダーシップで、地区内の複数施設に太陽光発電を設置した。上久堅地区では、地域資源と地域の関係性を活用して、地域の生活を向上する活動と、女性の地域活動のモデルとなっている。
 各地区のまちづくり委員会の橋渡し役を担う地区公民館と自治振興センターも、飯田市の地方自治組織を運営する上で重要な役割を果たしている。
 公民館は、人材育成・団体育成・関係形成をになっており、住民間や行政との間で立場を超えた水平な関係性を構築する役割を果たしている。
 自治振興センターは、地区における課題の把握や集約を行なって、行政の関連部署へ伝達する役割を担う。また、まちづくり委員会の事務局として、課題の提起や情報収集などを行なっている。
 多くの自治体では、住民自治に比べて団体自治に傾いているが、飯田市の場合、橋渡し役である公民館と自治振興センターが行政と住民の間に入ることによって、団体自治と住民自治のバランスを保っている。

再生可能エネルギーの電力市場化の段階論(中山先生)

再生可能エネルギーの電力市場化の段階論(中山先生)

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スキーリゾート地域の再生に向けた小水力発電の可能性(太田先生)

スキーリゾート地域の再生に向けた小水力発電の可能性(太田先生)

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まちづくりにおける「飯田モデル」の検証(八木先生)

まちづくりにおける「飯田モデル」の検証(八木先生)

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まちづくりにおける「飯田モデル」の検証(荻野先生)

まちづくりにおける「飯田モデル」の検証(荻野先生)

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質問と議論

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平成29年度 第1回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会
研究会
研究会
2017年4月24日(月)、於:京都大学

 2017年4月24日(月)15時〜18時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が京都大学にて開催されました。今回の研究会では、ドイツのElia Grid InternationalのKuwahata様からドイツの電力市場とその変遷について報告頂きました。

 Elia Grid International社とはグループ会社で、ドイツの送電事業者(TSO)の一つである50hertz社と、海外におけるTSOと配電事業者(DSO)を担当するElia社を傘下に持つ。今回講師に来られたKuwahata様が所属するEGIグループは、世界各国様々な専門家から構成された企業で、傘下の2社で得たノウハウをもとにコンサルティングやサービスを提供する。

ドイツの需給調整
 ドイツの電力市場において電力の需給調整はとても重要である。その理由と背景は、@ドイツ国内の2022年までに原発廃止、A再生可能エネルギーの促進(現在33%→2025年45%目標)、B気候保護(2020年までに40%CO2削減)と石炭発電の廃止、C2050年までに省エネ50%目標、D南北連系線の増強など複数の要因が挙げられる。

 2016年時点でドイツ国内における電力生産の33%が再生可能エネルギー(再エネ)で賄われ、そのうち21%は太陽光と風力(VRE)で占められる。特に、ドイツ北部にある50hertz管内では良い風況に恵まれ、再エネは全体の50%を占める。

 再エネが占めると懸念されるのが、不安定な再エネによって供給サイドで想定外の出力低下が起きることによる停電等である。実際に急激な出力低下(ランプアップ・ランプダウン)を想定すると、14GWある風力では15分間で約2GWの上下落、6.5GWある太陽光も同様に15分間で約2GWの上下落の可能性が算出された。

 しかし実際には、2008年以来ドイツでは再エネの導入量が27GWから78GW(VRE)に増え続けているのにもかかわらず、需給調整の量は15%減少している。これはドイツだけでなく、デンマークやスペイン&ポルトガル市場でも同様の現象が報告されている。

 需給調整の減少理由として考えられるのは、@予報技術の向上、Aリザーブ(予備力)を大幅にとっているため、BTSO間で資源を共有しているため、C15分リアル市場だけでなく前日市場で取引しているための4点が挙げられる。

 需給調整の利害関係者は、主にバランシンググループ(Balancing responsible parties or BRPs)・TSO・(Suppliers of balancing power)がある。(各利害関係者の役割については資料参照スライド16)

過去10年における需給調整(バランシング)市場の評価
 予備力(バランシングメカニズム)には、一次(Primary)、二次(Secondary)、三次(Tertiary、Minute)の3種類があり、稼働までの時間や動作時間の長さ、動作手順がそれぞれ違う。そのバランシング市場における供給者の数は年々増加している(スライド22参照)。バランシング市場における予備力量は、セカンダリーとターシャリーにおいて大幅に増加している(スライド23参照)。

 しかし一方で、各予備力の売り上げは2009年以降から60%減少している。プライマリー市場規模は維持しているが、セカンダリー(09年比60%減)とターシャリー(09年比80%減)の市場規模は減少を続けている。バランシング市場における各予備力の売り上げは、2013年と比べても、セカンダリーとターシャリーが大幅に減少していることが分かる(スライド26参照)。実際に、家庭電力価格に占めるバランシング(需給調整)のコストも、全体の0.1%しか占めていないほど微々たる規模である。

 セカンダリーとターシャリーの価格が大幅に下落要因として考えられるのは、供給者の増加に競争と、需給調整の必要性の減少で利益があまり出なくなったと見られているが、実際に何が原因でバランシングコストが減少したのかわからない。

 これまで再エネ増えると、需給調整力が必要だと思われていたが、ドイツでは調整スキルで不安定な再エネカバーできている。実際ドイツもここまでバランシングコストが下がり、ここまで効率が上がるとは思っていなかった。その結果、TSO同士(BRPs)による資源共有で、予備力(リザーブ)の稼働率も減少している(スライド29参照)。

 需給調整量は年々減少している(スライド33)。実際の要因は判明していないが。15分前市場の導入・プレミア価格導入・インバランス料金の増額・BRPの強化など複数の取り組みごとに需給調整の必要性が減っている。まだ取り組みが始まって10年経っていないため、今後もバランシング市場の動向は注目に値する。

平成29年度 第1回【部門A】「再生可能エネルキーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会 (Elia Grid International社 Kuwahata様)質疑と議論

平成29年度 第1回【部門A】「再生可能エネルキーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会 (Elia Grid International社 Kuwahata様)質疑と議論

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平成28年度 第4回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する
 2017年2月28日(火)13時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が京都大学にて開催されました。今回の研究会では、京都大学の中山先生から「ドイツにおけるエネルギー協同組合とシュタットベルケ 日本における組合、市民・地域共同発電所と自治体エネルギー公益事業体」と、京都大学の井上博成さんから「再生可能エネルギーと地域金融機関の組織行動〜飛騨高山の実践から木質バイオマスと小水力に焦点を当てて〜」について報告頂きました。

「ドイツにおけるエネルギー協同組合とシュタットベルケ 日本における組合、市民・地域共同発電所と自治体エネルギー公益事業体」 中山先生(京都大学)
 再生可能エネルギーで地域を再生させるエネルギー自治とは何か。ドイツにおける協同組合と市民エネルギー協同組合は、固定価格買取制度(FIT)の開始で爆発的に増えたが、そのうち大規模の論理で設立数は徐々に減っている。
 もともとドイツにエネルギー協同組合があったことが知られているが、日本でも1900年代に多くのエネルギー協同組合が存在した。主に都市部は民間会社で、山村部で推力をはじめとした町村営電気事業によって行われていた。しかし、現在では発電目的で協同組合を作ることはできない。これは農漁業など協同組合の設立が種別によって制定されているためである。農協や漁協で発電をやろうと思うと会員数が多く、合意形成を得るのは難しい。
 市民地域共同発電所は、現在日本に800以上あると言われている。その定義は、@市民や地域主体の出資が一定の割合を占めている、A建設や運営の意思決定に地域が関わっている、B収益の一部が地域に還元している、C社会課題や地域課題の解決に寄与している取り組み(豊田, 2016)とされている。
 現在では、関西電力の電気料金が26円/kWhなのに対して、太陽光の発電コストは21円まで下がっている。ドイツではすでに2014年から自給モデルができている。
 続いて、ドイツでは配電網の再公有化の動きがある。地方自治体が@発電、A配電網運営、B小売、C環境効率の高いエネルギーサービスを担い、地域のエネルギーデザインに携わる。
 その中で、配電網の再公有化で民間運営よりも託送料金が高くなる懸念がある。しかし、実際は大手送配電事業者に比べて約20%低いと言われている。その方法としては、@近隣シュタットベルケ(SUN)と共同調達、A配電網のインフラで同時整備、Bコンパクトな経営体制(大手は自己資本収益率20%、シュタットベルケは10%)が挙げられる。

自治体公益事業体
 株主の利益の最大化を目指す民間企業と違い、シュタットベルケは市民生活の満蔵殿最大化を目指す。その中で、日本においても自治体公益事業体が現れつつある。みやまエネルギーと浜松新電力である。
(サントリー文化財団第2回研究会参照:http://ider-project.jp/stage2/suntory03j.html

「再生可能エネルギーと地域金融機関の組織行動〜飛騨高山の実践から木質バイオマスと小水力に焦点を当てて〜」井上博成さん(京都大学)
 地域での再生可能エネルギーの事業化を考える上で、地域が主体か、外部との協働かで参加の容易さと利益が大きく異なる。金融を通じた地域への波及効果最大化のためには、地方銀行や信用組合など地域資金による活動が必要とされる。地域外からのファイナンスだと利息は域外に流出するが、地域資金によるファイナンスだと利息は地域への再投資に活用することができる。
 課題設定しては、地域主導または協働型の事業形成のために、@地域金融機関に事業構築視点からの考察、A信用金庫と信用組合にターゲットを絞った考察を挙げる。
 関節金融機関主体の地域にとって、活性化の観点から重要な問題の一つが預貸率である。地方銀行の預貸率は年々減少しており、国債購入の投資割合が高まっている。これでは、地域内に再投資がされない。しかし、これは地域金融機関の貸出先の少なさを表しており、資金的な需要を地域内に必要としている。地域活性化に資する新たな資金需要としての再生可能エネルギーは、地域金融の貸出態度を大きく変化させている。
 実際に金融機関による再生可能エネルギーへの融資はFIT施行後大きく増加している。しかし、FIT開始時はエネルギー事業に関するノウハウ不足で、現在では系統連系の接続保留で慎重な融資判断になっている。
 その対策として、@金融機関が初期段階から事業に参画することによる審査能力の向上、A金融機関に対する事業者の信用力の強化、B産官連携の事業スキーム、C投資可能性を高める支援制度が挙げられる。そして地域金融機関のあり方として、リレーションバンキング型の地域密着型金融の重要性が挙げられる。
 岐阜県高山市では、高山市再エネ会議で自然エネルギーを活用したまちづくりに取り組んでいる。広大な森林面積を有する高山市でのバイオマス発電の可能性について検討したが、持続可能な木材チップの供給が困難であることが判明したため、市内に温泉施設に400kW熱利用の施設をプロポーザルで事業を展開した。 小水力発電においても、現在複数のプロジェクトが進行中である。
 以上のことから地域主導型と協働型の事業形成については、高山市の事例で示したように、地域内でのファイナンスを調達することは可能である。また、内部資金が少ない地方銀行においても出資と融資のハイブリッド融資が期待できる。
 地域を支えるファイナンスの役割として、再生可能エネルギーを通じて預貸率全体の改善が期待できる。また、開発段階において事業構築段階から金融機関が携わることで、新たなファンド連携など期待できる。
 今後の研究の展望として、日本における事業主体側と、信用金庫と信用組合における深い洞察が求められる。また、日本とドイツでの比較による示唆の提示を期待できる。

「ドイツにおけるエネルギー協同組合とシュタットベルケ 日本における組合、市民・地域共同発電所と自治体エネルギー公益事業体」

「ドイツにおけるエネルギー協同組合とシュタットベルケ 日本における組合、市民・地域共同発電所と自治体エネルギー公益事業体」

中山先生(京都大学)

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「再生可能エネルギーと地域金融機関の組織行動〜飛騨高山の実践から木質バイオマスと小水力に焦点を当てて〜」

「再生可能エネルギーと地域金融機関の組織行動〜飛騨高山の実践から木質バイオマスと小水力に焦点を当てて〜」

井上博成さん(京都大学)

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平成28年度 第4回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会(後半部)
研究会
研究会
2017年2月13日(月)、於:京都大学東京オフィス

 2017年2月13日(木)13時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が京都大学東京オフィスにて開催されました。今回の研究会では、一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)の国松亮一様から「電力市場のあるべき姿 その過程について」と、京都大学の安田陽先生から「欧州の電力市場設計と再生可能エネルギーの大量導入」について報告頂きました。
(国松様の報告については、前半部に記載させて頂いております)

「欧州の電力市場設計と再生可能エネルギーの大量導入」 安田先生(京都大学)

 海外で消費電力が下がっているが、国際連系線取引電力量と再生可能エネルギーは増えている。日本では再エネが入ると系統コストがかかると言われるが、海外では再エネのおかげで系統インフラへの投資が進んでいる(再エネ便益→系統投資→系統便益→投資)。2030年までに200件の投資案件があり、重電と海洋土木はうはうは状態である。
 欧州における電力市場政策を見ると、基本的に電力自由化と再エネ政策は車の両輪でセットとしてかんがえられている(図pg5参照)。後攻組のアイルランドやポルトガルなどが、デンマークなど先行組の意見をだいぶ参考にした。

 EUの報告書(2005〜)では、もう系統連係の不安定なんて言ってる報告書はない。その原因はこれらの報告書が和訳されてなく、知っている人が少なかった(図pg6, 7参照)。
 欧州の電力市場の統合も進んでいる(図pg8参照)。先進的な国際市場であるnordpoolには、最近バルト三国も参加しており、PCR(Price Coupling of Region)によって国を超えて連係がつながっている。かつてデンマークは東部と西部でつながっていなかったが、風力があふれてきたのでつなげてきた。また、統合したイベリア市場では、現物をスペイン、先物をポルトガルと役割分担している。EUの電力市場統合は、国は何か、市場とは何かと考えるきっかけになっている。

 一つの国で複数のbidding zoneに分かれている(正直変な状態)が、それを防ぐために大容量の送電線建設を促進している。
 仮に日本に当てはめてみたらどうなるかというシミュレーションをする必要がある。北海道の安い電力を大容量送電線で入れてやると、費用便益分析(送電線)が必要である。

 電力市場取引は、基本リスクヘッジのために行われる。多くの欧州電力関係者によると、相対取引は与信リスクは高く、相手が3年後も存続しているかわからないと口をそろえる。ポーランドは50%を市場に出すのを義務化した。米国では全体でみると自由化率は50%だが、実際は人口少ないエリアはメリットがないため自由化していないだけで、大都市など消費電力ベースで見ると圧倒的に自由化率が高くなる。

電力市場と系統運用者の役割分担は以下の通りである(スライドpg17)。

1.供給・需要の入応札
2.系統計画
3.電源のリスト作成(前日夕方)→前日までわからないのは大手電力にとって怖い
4.系統解析(TSO)
5.足りない分を当日市場で供給・需要の入応札
6.電源リストの修正
7.インバランス計算
8.予備力募集→再給電指令
9.調整力入札(需給調整市場)
10.実供給時刻で監視して、最終的にTSOが給電を指示する
11.最後にインバランス清算

大手電力会社が今やっているのは、基本的に再給電指令(ディスパッチ)のみである。

 系統運用者にとっていつ発電するかわからない分散型電源は基本的に不安定と思われていたが、分散型電力の一つであるコジェネ(熱電供給)は柔軟性を持っている。コジェネの先進国デンマークでは、2006年にコジェネに通信要件を課した。これによって、FIT認定条件に監視と制御機能を義務付けたことによって、系統運用を支援する柔軟性のある電源になった。デンマークのコジェネは、電力市場と通信して、市場価格を見ながら自動運転しており、数千台のコジェネが仮想発電所として動作している。
 日本では、太陽光のアグリゲータがやるべきだが、日本ではデンマークのようなインセンティブを政策で作らないと難しい。今後市場が成熟すると、パワートレーダーやアグリゲータなど市場を活用した新しいビジネスが生まれる。

安田陽様(京都大学)

安田陽様(京都大学)

「 欧州の電力市場設計と再生可能エネルギーの大量導入」

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「欧州の電力市場設計と再生可能エネルギーの大量導入」

安田先生(京都大学)の質疑と議論
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平成28年度 第4回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会(前半部)
研究会
研究会
 2017年2月13日(木)13時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が京都大学東京オフィスにて開催されました。今回の研究会では、一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)の国松亮一様から「電力市場のあるべき姿 その過程について」と、京都大学の安田陽先生から「欧州の電力市場設計と再生可能エネルギーの大量導入」について報告頂きました。
(安田先生の報告については、後半部に記載させて頂いております)

「電力市場のあるべき姿 その過程について」 国松様(JEPX)

 電力市場は、大きく「発電事業」「送配電事業」「小売事業」の3つに分かれている。現在日本では、東日本大震災をきっかけに電力システム改革が進行している。2015年に送電を広域に効率的に運営する広域機関の創設、2016年に小売事業の全面自由化と電力事業形態の見直し(ライセンス制)、2020年には送配電部門の法的分離と料金規制の撤廃が控えている。
 その中で日本卸電力取引は、発電と小売の間の取引の見える化を行っている。電力を個別取引にしてしまうと、選択肢が少なく交渉が進まないケースがある。しかし、取引所で多くの売りと買いの希望を集約することで、需要と供給を適切に反映して価格付けが容易になる。

 電力自由化の目的は、法律で定められてた総括原価方式の電気料金を改めることから始まっている。総括原価方式とは、基本的に電力事業にかかるコストに応じて電気料金が設定されていたため、コストが高くなりがちであった。自由化で電力料金規制撤廃後は、一般企業と同様、低コスト化と高効率化で競争が進み、電気事業全体の発展につなげることを目的としている。

 取引所における取引は、基本的に30分同時同量で、たえず電力の需要と供給が一致するように取引されている。この瞬時の変化に対応しているのが一般送配電事業者である。
 発電事業者発電計画(自身がどれだけ発電するか)、小売事業者は需要計画(どれだけ需要するか)を策定する。月や週単位で計画し、実需の1日前には翌日の30分単位で計画を確定させる必要がある(1日前スポット市場)。もし予定通り発電できなくて市場に流せない場合、インバランス料金が発生する。

 現在、JEPXは日本全体の電力需要の2.8%を占める。電力市場の導入が早かった欧州では、電力市場のシェアを大きく伸ばしている。
 イギリスでは、電力市場につかないとしたら規制するとしたら、大手電力会社自ら電力市場に積極的になり(Gross Bidding)、電力市場のシェアは3年で51%に増えた。ドイツでは、大手電力会社とシュタットベルケの競争で段階的に50.1%まで増えた。フランスでは、国営電力企業のEDFを強制的に開放して11.9%になった。北欧NordPoolでは、北欧の国それぞれの電力構成が違い、北欧間の国際連系線を通すにはNordPoolを通さないと使えないことにしたため、結果的に86.2%まで増加した。日本もこのNordPoolをモデルにしたい。
(海外市場モデルに関する質疑と議論については添付ファイルを参照ください)

 日本の新電力は現在約3割を電力市場に頼っている。しかし、これでは電力全体の1%にも届いていないため、このままでは意図した電力取引ができない。そのために考えられる取引活性化の施策は以下の4点が挙げられる。
 @FIT送配電買取:電力市場に拠出する(おそらく全体10%ぐらい)、Aグロスビディング:大手から10%ずつ市場に拠出する、B連系線利用ルールを現行の先着順ではなく、間接オークションに変更する。連系線をまたいだ電力は取引所へする(おそらく全体10%ぐらい)、Cベースロード電源市場:水力石炭火力原子力の一部を取引所を通じて新規参入者に売電を義務付けする。
 これで日本の電力需要に占める電力市場のシェア30%が見えてくる。
(日本における電力取引活性化の施策に関する質疑と議論については添付ファイルを参照ください)

 電気に付帯する価値として、@非化石電源価値、ACO2、B電源構成表示価値があるが、一緒に市場に流すと難しい。そこで、電気と付帯価値を分離する取り組みが始まる。平成29年度から非化石電源価値取引を開始する(CO2の少ないLNGが入っていない)。この新たな取引で、CO2を減らすインセンティブを作る必要がある。
(電気に付帯する価値に関する質疑と議論については添付ファイルを参照ください)

国松亮一様(一般社団法人日本卸電力取引所)

国松亮一様(一般社団法人日本卸電力取引所)

「電力市場のあるべき姿 その過程について」

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「電力市場のあるべき姿 その過程について」 

「電力市場のあるべき姿 その過程について」 

国松様(JEPX)の質疑と議論

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平成28年度 第3回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会
研究会
研究会
 2016年12月22日(木)13時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が京都大学東京オフィスにて開催されました。今回の研究会では、尚絅学院大学の東愛子先生から「再生可能エネルギーの普及拡大と電力市場改革:ドイツ事例からみる日本の課題」について報告頂きました。

 現在ドイツの電力市場改革は、どのように調整電源市場を改革して再生可能エネルギーに合わせていくかという研究に視点が移っている。
 ドイツの電力市場では、@電力自由化によって発電設備への投資が抑止されている、A原発のフェードアウトで発電容量が減少している、B再エネの増加によってガス発電などの既存電源が市場から撤退しているの3つの状況に陥っている。
 これらを踏まえて、ドイツ電力市場では長期的な解決策として「容量市場」の検討が行われたが、必ずしも再エネの変動を吸収できるものではないと導入を見送った。
 その後取り組む上で5つの柱が挙げられる。@出力が柔軟な電源を確保して投資を向ける、A最低の安定供給として、一定量を市場から除いたキャパシティリザーブを立ち上げる発電を保持する、BEUレベルでエネルギーの低炭素化のため、C褐炭発電を今日背的に市場から退場させるPrimate Reserveで決定する、D送電料金の改革は、託送料金の割合が高いので、これをできるだけ引き下げたい。

 ドイツの電力市場には2つの仕組みがある。まず、前日市場と当日市場を使って、BRPS計画値に対して責任を持っている発電所が取引をする。しかし、計画値から外れたものに関しては、30分前からTSOが需給調整をする。その場合、TSOの需給調整は、前日市場の前に確保されたPrimary、Secondly、Minutes、ターシャリー(調整能力)を事前に確保しているので、TSOは確保した電力で調整する責任を持っている。

 電源の調整力は、事前審査に通ったものから入札する。ドイツの入札の仕組みは3つの市場がある。プライマリー市場はは容量単価で決定し、セカンダリー市場とミニッツ市場に関しては容量価格+エネルギー単価を入札時に容量価格の高いものから落札される。
 容量価格に関してはTSOが確保しているので、送電料金という形で回収している。エネルギーの価格に関しては、インバランスを発生させたバランシンググループから回収する。

 さらに、電力の需給調整を確実なものとするためにドイツでは、ドイツ全土対象のキャパシティリザーブと、ドイツ地域限定のネットワークリザーブが共存している。
 キャパシティリザーブとは、安全保障として需給調整は当日と前日市場で行う。キャパシティリザーブを新しく作ることで、需給調整が失敗したときに最後の手段として使うことを目的としている。キャパシティリザーブは入札で決める。
 一方ネットワークリザーブとは、自動車産業など電力需要が集中するドイツ南部などでは送電容量が足りないため、ネットワークの安定性を確保するために、一定の発電所を相対で確保している。
(キャパシティリザーブとネットワークリザーブに関する議論に関しては、添付ファイルを参照ください)

 結論は、ドイツの電力市場改革は、スポット市場を通じてインバランス(調整電力をできるだけ使わない形)を解消してほしいので、インバランス料金が高値になるように設定している。
 今後のインバランス料金改定の課題として、容量価格に関しては送電料金を通じて広く回収していたが、今後はバランシンググループから徴収する仕組みを作るかを検討している。

研究会の質疑と議論

研究会の質疑と議論

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研究会資料(東愛子先生)

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平成28年度 第3回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会
2016年12月19日(月)、於:京都大学

 2016年12月19日(月)14時〜18時、本科研費プロジェクトの【部門B】研究会は、京都大学において開催されました。今回の研究会では、九州大学の八木先生から「再生可能エネルギー政策における都道府県の役割〜長野県と大分県を事例にして〜」と、京都大学の山東さんから「地域経済付加価値モデル〜地熱発電版〜」について報告頂きました。

 まず、山東さん(京都大学)からは地熱発電における地域経済付加価値モデルの報告を頂きました。これまで太陽光や風力など他の電源ではモデルがあったのですが、今回は初めて地熱発電版を作成されました(他の電源に関する地域経済付加価値モデルの報告については、第1回【部門B】のhttp://ider-project.jp/stage2/08j.html#00000146を参照下さい)。

 今回のモデルでは、100kW・2000kW・30000kWのそれぞれ小中大規模地熱発電における地域経済付加価値を算出しました。その結果、小水力発電と同様、投資段階における地元にお金が落ちやすい建設部門の比率が大きいため、それぞれ全体の投資額の20%・26%・29%と出ました(建設部門地元調達率100%)。また、15年の運営段階においても35%・41%・42%と出ました(地元出資率100%と仮定)。

 しかし、これらの高い数値は、地元出資比率や地元請負工事比率によって大きく変動します。当モデルと長所は、このように全く違う各発電事業と地域の実情を踏まえて、地域ごとに自治体レベルの経済効果を試算することができる点にあります。今後の課題としては、実際の発電所のデータをモデルに取り込んで精度を上げていくことが求められます。

 次に、九州大学の八木先生から「再生可能エネルギー政策における都道府県の役割〜長野県と大分県を事例にして〜」について報告頂きました。都道府県の中でも再生可能エネルギーの導入に熱心な長野県と大分県の取り組みに関する双方の共通点と相違点について挙げられました。

 長野県は、早くから再生可能エネルギーに取り組んでいた飯田市と違い、環境政策には熱心ではなかった。しかし、3.11以降に新設された環境エネルギー課を中心に、県営発電所の収益を活用した補助金や担い手育成事業など環境関連の予算も増加した。

 一方大分県は、2002年の新エネルギービジョンから環境政策として再生可能エネルギーに取り組んでおり、3.11以降は産業政策として取り組むために商工労働部に移管した。大分県の特徴としては、県内の産官学が集まるエネルギー産業企業会の事務局として支援しており、豊富な温泉熱発電に対するファンドも設立された。

 長野県と大分県の違いは、長野県の支援機能が市町村が対応できない補完機能的要素が高い一方、大分県の支援機能は連絡調整機能に特化している。同じ再生可能エネルギーに取り組む都道府県でも取り組み方に違いがある。

 展望を踏まえ、今後さらなる研究の発展が進む予定です。今年度最後となる次回の第4回【部門B】研究会は、2月か3月に開催される予定です。

山東晃大さん(京都大学)
「地域経済付加価値モデル〜地熱発電版〜」

添付ファイル

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平成28年度 第2回【部門B】「電力自由化と自治体新電力(シュタットベルケ)の可能性」に関する研究会
2016年11月28日(月)、於:京都大学

 2016年11月28日(月)15時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門B】研究会は、京都大学において【部門A】との合同で開催されました。今回の研究会では、九州大学の原田達朗先生から「電力自由化と自治体新電力(シュタットベルケ)の可能性」について報告頂きました。

 自治体は、住民に公益サービス提供の責任と地域防災の要である必要がある。これまで大手電力会社が地域独占で守られていた「公益」「公平」「透明」の3原則は、電力自由化で難しくなった。これら電気は、道路や上下水と同じ公益の要素を要している。九州3万人特例市の中で特に人口減少が激しい自治体で、みやま市や南九州市など電力事業に意欲を示す自治体が現れている。

 電力需給を安定させるためには周波数を安定させる必要があるが、現在の電力システムでは電力会社可能なのは送電線の周波数の管理のみであり、配電変電所より下部に周波数調整機能は備えていない。そこで、地産地消など電力消費の需給調整を小さくすることで、託送負担の大幅な低減が考えられる。そこで、これまで一度1次変電所を通していた再エネ電源をプライベートグリッドで直接地域に配電するグリッドを作ることで、電力の安定化と送電線の設備投資抑制が期待できる。

 環境価値の概念を導入することで、低炭素電源を評価することで地方における再エネ導入を促進することが期待できる。また、人口密度が大きく夜間にも電力需要の高い都市部と地方の自治体間で連携することで需給調整を相互補完する。

 現在九州大学キャンパスを拠点に近隣自治体施設と再エネを共同利用する地域エネルギーマネジメントのクラスター実験を実施している。自営線で施設をつなぐことで、それぞれの施設の再エネ電源を時間別に融通できる体制を作った。今後もキャンパスごとにエネルギーマネジメントシステムを統合することで、計画的な電力調達が期待できる。

 地方は人口減少が止まらず経済的にも疲弊している状況だが、再生可能エネルギー利用促進と低炭素地域づくりをきっかけに、新たな経済支柱の確保と公共サービスの維持の両立が期待できる。また、再エネが競争力を持ち始めると、政策で電気代の安い自治体が生まれ、事業誘致や環境価値の高さを競う自治体間の競争も期待できる。

 展望を踏まえ、今後さらなる研究の発展が進む予定です。質疑と議論については、添付ファイルに記載されておりますのでご参照ください。次回の部門B研究会は、12月19日@京都大学にて開催される予定です。

原田達朗先生(九州大学)
「電力自由化と自治体新電力(シュタットベルケ)の可能性」

添付ファイル

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平成28年度 第2回【部門A】「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」に関する研究会
2016年11月28日(月)、於:京都大学

 2016年11月28日(月)13時〜15時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が京都大学において【部門B】との合同で開催されました。今回の研究会では、九州大学の原田達朗先生から「再生可能エネルギーの大量導入を踏まえた構造改革」について報告頂きました。

 世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑えることを明記したパリ合意で、日本は2030年までに26%のCO2削減に向けて取り組むことが決まった。しかし、経産省が掲げる2030年度目標の電源構成では、26%の1/3の達成にしか過ぎないため、残り2/3を省エネや輸送部門の低炭素化に取り組む必要がある。また、2030年には約10%人口が減ることが見込まれ、人口減少を見据えたモデルが必要になる。

 人口減少と省エネが進むと、電力需要密度の低下が見込まれる。各電源の販売エリアを拡大しなければならず、託送距離が延びて電力輸送コストが上昇する。大型電源の経済優位性が縮小される。また、大規模電源では需要側の変動によって設備利用率の低下で経済性が悪くなる。そのため、小型分散型電源をできるだけ近いエリアで消費することが見込まれる。

 現在、再エネ賦課金は360億kWhで1.3兆円(1.4円/kWh)だが、2030年には5.1兆円(5.7円/kWh)程度の負担が見込まれる。これは各家庭1710円/月の計算である。そこで、自家消費太陽光の可能性について試算すると、1kWの太陽光発電設備は20年の耐用期間で電気代572千円と再エネ賦課金125千円を合わせたkWあたり697千円の便益が見込まれる。今後、原発や償却済再エネ電源の拡大、ガスコジェネなどの熱電併給の普及、太陽光や風力などの限界費用ゼロ電源の増加などで、電力の市場価格の低下が想定される。すると、メリットオーダー効果で発電コストの高い電源、特に大規模な発電所から低稼働率による採算の悪化が考えられる。さらに、JPEX平均システム価格の推移を見ると、市場的には2009年に比べて電力が余っている状況である。

 九州電力において、現在最大需要は750万kWに対して、太陽光ピーク出力466万kWの60%に当たる。2017年と見込まれる玄海原発の復帰で再エネ出力抑制の実施は示唆される。現状では、50kW以上の再エネは一度1次変電所の上流に上げてから配電する仕組みになっているため、系統連系は設備投資が大きく、託送料金の負担が増大する傾向にある。日本の託送料金は他国に比べて高く、電力調達コストの3割を占める。そこで、本来1次変電所に送電する電力をプライベートグリッドで直接電力消費者に配電し、需給調整を地域で行うことによって、託送料金の負担を抑制する。

 これらのように、パリ合意の目標達成を見据えて、根本的に考えを変える必要がある。目標達成のためには、再エネの導入と同時に、交通と産業の電化や省エネなども並行しなければならない。また、人口減少と省エネによって電力需要密度の低下で託送料金コスト押し上げるため、送電線とコミュニティグリッドの役割分担が必要になる。(講義中の議論と質疑については添付ファイル参照)

 展望を踏まえ、今後さらなる研究の発展が進む予定です。次回の部門A研究会は、12月22日@東京で開催される予定です。

原田達朗先生(九州大学)
「再生可能エネルギー大量導入を踏まえた構造改革」

添付ファイル

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【部門A】【部門B】シンポジウム「再生可能エネルギーによる地域の再生 〜地域付加価値分析とシュタットベルケ」
シンポジウム
シンポジウム
2016年11月11日(金)13:00〜17:00
於:イオンコンパス東京駅前会議室

2016年11月11日(金)午後1時より、イオンコンパス東京駅前会議室におきまして、「再生可能エネルギーによる地域の再生 地域付加価値分析とシュタットベルケ」をテーマとし、シンポジウムを開催いたしました。シンポジウムの前半に「地域付加価値創造分析」、後半に「シュタットベルケ」について報告頂きました。

最初に、ラウパッハ先生(立命館大学)から「日本における地域付加価値創造分析の社会実装」について報告頂きました。ドイツの環境経済研究所のモデルを日本に適用し、実際に長野県と北栄町のデータを活用して、各地域の地域経済付加価値を算出しました(添付ファイル参照)。これらのツールは、自治体や地域のエネルギー政策策定や合意形成のためのコミュニケーションを支援することが期待されます。

次に、中山先生(京都大学)から「日本における地域付加価値創造分析モデル、検証、その適用」について報告頂きました。地域付加価値創造分析の特徴は、産業連関表と違い、地方自治体レベルでの計測が可能であり、地方付加価値分析では費用構造を4つの段階に切り分けて試算する等のプロセスについて説明頂きました。本研究では、平成26年度の調達価格等算定委員会のコストデータから、太陽光(1.2MW)・風力(2MW)・小水力(150kW、400kW、12MW)・バイオマス(間伐材由来5MW)の地域付加価値創造額を試算しました。


3番目に、小川さん(京都大学)から「地域付加価値創造分析の理論とケーススタディ」について報告頂きました。発電事業で得られる売上のうち、地方税として地域に残るお金はどの程度か見る。20年稼働するメガソーラーでは、だいたい人件費・個人住民税・法人住民税合わせて4.9%、手取り収入で4.4%と言われる。事業が生み出す経済価値はどこへ行くのかを分析するのが地域付加価値創造分析です。地域付加価値創造分析の活用方法としては、事後評価することで得られる進捗管理と、将来予測による計画策定に活用されることが想定される。実際に長野県のメガソーラー(1MW)の実績値から分析すると、地域が約90%のオーナーシップを有した場合、売上の30%が地域に残る。しかし、一方で税金だけの場合は売上の10%のみ地域に残る。このように地域付加価値創造分析で、誰がどれだけ儲かるか、地域のどの業種に雇用が生まれるか、投資の費用対効果がわかる。


後半は「シュタットベルケ」について報告頂きました。
 最初に、再度ラウパッハ先生(立命館大学)から「欧州エネルギーの転換におけるドイツ・シュタットベルケの戦略」について報告頂きました。ドイツのシュタットベルケは、ドイツにおいて電力だけでなく、ガスや熱など他の公共インフラにおいても高い市場シェアを占めている。また、地域経済への貢献も1ユーロあたり約半分が地域に落ちている統計も出ている。シュタットベルケの歴史と経緯は、EUのエネルギー政策の影響をとても受けている。シュタットベルケのアンケートにおいて、事業成功に必要な戦略にシュタットベルケ同士の戦略的提携を挙げている。シュタットベルケも自由競争にさらされている。一方で日本におけるシュタットベルケの可能性は、特に配電網事業においてドイツとまったく違う歴史を辿っているので、日本では簡単にシュタットベルケが配電網を所有するのは難しいと考える。


次に、中山先生から「シュタットベルケによるエネルギー事業の再公有化とそのねらい」について報告頂きました。現在ドイツでは、配電網事業のコンセッション更新時期に当たり、多くのシュタットベルケが配電網の再公有化を進めている。一方で、配電網の再公有化に関して、エネルギー市場新規参入者のBNEや連邦カルテル庁のBKartAのように、配電網の再公有化に批判的な反対派も存在する。多くの場合、自治体運営では効率的な運営が期待できないという意見が多い。賛成派のBnetzAは、必ずしも小規模な配電網運営者が大手に劣るという根拠はなく、配電網の質の悪い維持管理は大手でも見つかっている。自治体としては、再公有化することで、発電から小売までのバリューチェーンを構築することと、地域のエネルギー大転換をデザインすることがねらいである。


最後に、諸富先生(京都大学)から「日本におけるシュタットベルケ創設の動向とその意義」について報告頂きました。長野県のおひさま進歩で18億円の付加価値が生まれているが、そのうち9億円は域外の出資者に帰属している。エネルギー自治における自治体の役割として、真庭市や飯田市の「民間主導型」と、下川町や西粟倉村の「自治体主導型」に分類できる。「自治体エネルギー公益的事業体」とは、民間主導のエネルギー事業でも公益的な事業かつ自治体による少額出資がなされている事業のことと呼ぶ。その事業体モデルとして、ドイツのシュタットベルケを挙げる。ドイツだけでなく日本においても、自治体が税収以外で何で稼ぐかが重要になっており、フライブルク市や福岡県みやま市のように、稼ぐ手段の一つとしてエネルギー事業が挙げられる。


おわりに、榎原さん(株式会社E-konzal)から「地域を元気にする再生可能エネルギーと自治体の役割」について報告頂きました。日本は毎年消費税と所得税の税収に匹敵する20兆円の化石燃料を海外から輸入しており、そのために電気や機械産業による45兆円の外貨獲得分が流出している。これは地域も同じく、京都府舞鶴市も毎年160億円がエネルギー支出として域外に流出している。そこで、地域主導型の再生可能エネルギーが全国に広がっている。自治体によっては再エネに関する条例や方針を明確にする自治体も現れ始めている。例えば、福岡県のみやま市ではドイツのシュタットベルケのように、自治体で発電や小売事業をおこなうだけでなく、高齢者向けのサービスなどを続々開発している。今後も自治体が地域エネルギーに取り組むためには、政策や計画に反映する定量的な測量と分析の必要がある。

ラウパッハ先生(立命館大学)
「日本における地域付加価値創造分析の社会実装」

添付ファイル

中山先生(京都大学)
「日本における地域付加価値創造分析モデル」

添付ファイル

小川さん(京都大学)
「地域付加価値創造分析の理論とケーススタディ」

添付ファイル

ラウパッハ先生(立命館大学)
「欧州エネルギー市場の転換におけるドイツ・シュタットベルケの戦略」

添付ファイル

中山先生(京都大学)
「シュタットベルケにおよるエネルギー事業の再公有化とそのねらい」

添付ファイル

諸富先生(京都大学)
「日本におけるシュタットベルケ創設の動向とその意義」

添付ファイル

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シンポジウム案内
「再生可能エネルギーによる地域の再生 地域付加価値分析とシュタットベルケ」
この度、2016年11月11日(金)午後1時より、イオンコンパス東京駅前会議室におきまして、「再生可能エネルギーによる地域の再生 地域付加価値分析とシュタットベルケ」をテーマとし、シンポジウムを開催いたします。

つきましては、皆様にはご参加を賜りたく、下記および添付ファイルの通り、当シンポジウムをご案内申し上げます。

ご参加をいただけます場合は、お手数ではございますが、下記より、「お名前」・「ご所属」・「メールアドレス」をご記入の上、お申し込みをお願いいたします。

お申し込みはこちら

なお、関係者および関心をお持ちの方々への転送を歓迎いたします。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

シンポジウム
「再生可能エネルギーによる地域の再生 地域付加価値分析とシュタットベルケ」

日時:2016年11月11日(金)、午後1時〜5時、その後、懇親会を開催
会場:イオンコンパス東京駅前会議室3-D室 (東京都中央区八重洲2-2-1 日本酒類販売新八重洲口ビル3・4階)
参加申し込み:参加ご希望の方は、下記より参加申し込みの手続きをよろしくお願い致します。
お申し込みはこちら

プログラム:
13:00-13:10 開会挨拶:諸富徹(京都大学)+榎原友樹(株式会社E-konzal)

13:10-14:40 セッション1:再エネが生み出す「地域付加価値」とは何か
13:10-14:10【報告:各報告20分】
ラウパッハ・スミヤ ヨーク(立命館大学)「日本における地域付加価値創造分析の社会実装」
中山琢夫(京都大学)「日本における地域付加価値創造分析モデル、検証、その適用」
小川祐貴(京都大学大学院地球環境学舎)「地域付加価値創造分析の理論とケーススタディ」
14:10-14:30【質疑応答】

14:40-16:20 セッション2:シュタットベルケの可能性:再エネによる地域再生
14:40-15:40【報告:ラウパッハ30分、中山・諸富各20分】
ラウパッハ・スミヤ ヨーク「欧州エネルギー市場の転換におけるドイツ・シュタットベルケの戦略」
中山琢夫「シュタットベルケによるエネルギー事業の再公有化とそのねらい」
諸富徹「日本におけるシュタットベルケ創設の動向とその意義」
15:40-16:20【質疑応答】

16:20-16:50 セッション3:自治体との協力関係構築の呼びかけ
榎原友樹「地域を元気にする再生可能エネルギーと自治体の役割」

16:50-17:00 閉会挨拶:諸富徹

シンポジウム開催のお知らせ

シンポジウム開催のお知らせ

symposium20161111.pdf

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平成28年度 第1回【部門A】「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資」に関する研究会
2016年7月27日(水)、於:京都大学東京オフィス
研究会の様子
研究会の様子
 2016年7月27日(水)14時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門A】研究会が京都大学東京オフィス会議室において開催されました。今回の研究会では、京都大学の諸富先生から「再生可能エネルギーの大量導入と電力システム改革」について報告頂きました。

 日本における電力システム改革は、発電事業の新規参入や電力市場の競争促進などが背景にあり進んでいる。現在、電力システム改革の進展状況としては、小売の自由化のあとに2020年の発送電分離が控えており、今後は発送電の法的分離から所有分離への議論が必要とされている。また、再生可能エネルギーにとっても、これまでの火力発電や原子力発電と違った電力システムの改革が必要なる。

 日本の再エネFITで再生可能エネルギーの導入が飛躍的に伸びたことで投資意欲の促進や価格の低下などの成果が見られた。一方で、再エネの急な拡大で九電ショックのような送電容量不足問題が浮上した。このような課題があって改善は今後も必要ながらも、再エネFITは公共政策手段の一つとして評価できる。今後のFITの課題として挙げられるのが、@費用膨張問題と、A再エネの系統容量の問題である。Aにおいて、現在日本の送電線は、電力会社の所有物となっているため、接続可能量に関する決定権とデータの不透明性の問題があり、系統容量問題がどの程度なのか把握できない。今後は、このような送電線も中立性と公共性が必要である。

 ドイツは、これらの問題解決のために、再エネの市場統合のために2014年改正法を施行した。再エネの市場統合の目標は、再エネ拡大を効率的に達成することで、電源競争に勝った太陽光発電と陸上風力を優遇する政策に舵を切った。また、再エネ費用負担の公平配分と目標回廊の創設による電源ごとの目標化も加えた。いまのところ、ドイツでは再エネの大量導入で電力価格を低下させた。家庭部門では低下分は再エネ賦課金で相殺されているが、産業部門は賦課金免除で二重の恩恵を受けている。日本では、再エネの大量導入で再エネの出力抑制の話になっているが、ドイツでは抑制しなくても良いような電力システムの設計に切り替えている。

 ドイツの電力市場には、@先渡市場、A前日市場、B当日市場、C院バランス料金とある。また、系統運用者向けにいつでも稼動できる状態で待機させる予備調整電力契約もある。当初、ドイツではキャパシティ市場の創設を検討していたが、予備に立ち上がりの早い発電だけを確保したかったため、競争を歪める市場を作らなかった。

 これらのように、ドイツは再エネの大量導入を見据えて、様々な政策を打っている。その結果、ドイツ再エネの経済定量評価は雇用増加も電力価格低下も見込まれ、将来的には再エネリッチな地域は経済的に大きな恩恵を受けることになる。(講義中の議論と質疑については添付ファイル参照)

再生可能エネルギーと電力自由化

再生可能エネルギーと電力自由化

諸富徹先生(京都大学)

再生可能エネルギーと電力自由化

ドイツ再生可能エネルギー2014年改正法

ドイツ再生可能エネルギー2014年改正法

諸富徹先生(京都大学)

ドイツ再生可能エネルギー2014年改正法

平成28年度 第1回【部門A】「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資」に関する研究会報告 (議論と質疑)

平成28年度 第1回【部門A】「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資」に関する研究会報告 (議論と質疑)

平成28年度 第1回【部門A】「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資」に関する研究会報告 (議論と質疑)

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平成28年度 第1回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会
2016年7月4日(月)、於:京都大学
 2016年7月4日(月)10時30分〜13時、本科研費プロジェクトの【部門B】研究会が京都大学法経東館8Fリフレッシュルームにおいて開催されました。

 今回の研究会では、立命館大学のラウパッハ教授、京都大学の中山先生、京都大学博士課程の小川さんの3名から報告頂きました。

 ラウパッハ先生(立命館大学経営学部 教授)から、『再生可能エネルギーによる地域経済効果〜産業連鎖分析による地域経済付加価値モデルの要点〜』についてご報告頂きました。

 再エネと省エネをベースにした分散型エネルギーシステムへの転換が地域にもたらす経済効果をどう測定・試算・評価・予測できるか?という問いに対して、日本版の地域経済付加価値モデルの構築について報告頂きました。地域経済付加価値モデルは、ドイツの環境経済研究所のモデルをもとにしたもので、可視化された再エネの地域経済効果を自治体の政策決定プロセスや合意形成プロセスのサポートへの適用を見込んでいる。地域経済付加価値モデルで得た結果は、再エネ各電源の投資段階と事業運営段階の付加価値が数値化されており、事業運営段階の方が地域に付加価値を与えていることが示されている(下記の添付資料pp.13-14参照)。これからはモデルの品質を確認をするために、長野県のおひさまファンドなどの実例を使って検証している。今後もできるだけ事例を増やしてモデルの精度を上げることで、自治体の政策決定プロセスや地域の合意形成プロセスのツールとしての活用を見込む。

 中山先生(京都大学)からは、『再生可能エネルギーによる地域付加価値創造分析の電源間の比較分析』について報告頂きました。

 地域付加価値創造分析は、産業連関分析と比べて、地方自治体レベルで地域主導の分散型再エネ発電事業によって新しく生まれる地域経済付加価値の計測が可能である。地域経済付加価値モデルは、主に産業バリューチェーン(製造段階、建設設置段階、運営サービス修繕、事業マネジメント)と、地域経済付加価値(従業員の可処分所得+事業者の税引後収益、地方税収)の2つから構成されている。本研究における試算では、1200kW太陽光発電を例に、バリューチェーンの各ステップにおける電源別地域付加価値創造額を算出した(下記の添付資料pp.18-26)。

 小川氏(京都大学大学院地球環境学舎博士課程)からは、『再生可能エネルギーの地域付加価値創造分析ツール〜日本版のデモンストレーション〜』について報告頂きました。

 再生可能エネルギーの地域付加価値創造分析の流れは、@分析対象となる地域・シナリオ・期間を設定し、A設定した地域・シナリオの個別技術について分析してキャッシュフローを作成、B分析した地域とシナリオの結果を集計して電源ごとの内訳を表示する(添付資料参照)。今回の発表では、太陽光発電を事例に実際の分析ツールのデモンストレーションと各項目の説明を頂きました。

 これまで中山琢夫先生(京都大学)、ラウパッハ先生(立命館大学)らが積み上げてきた研究実績を踏まえ、より拡張をするために、関連産業との分析、また産業連関表との接合などの展望についてもご報告頂きました。また今後省エネや地熱などの資源別の事業性の検討を踏まえた地域付加価値もより深く探求していくことも議論されました。展望を踏まえ、今後さらなる研究の発展が進む予定です。次回の部門B研究会は、9月または10月に開催される予定です。

再生可能エネルギーによる地域経済効果〜産業連鎖分析による地域経済付加価値モデルの要点〜

再生可能エネルギーによる地域経済効果〜産業連鎖分析による地域経済付加価値モデルの要点〜

ラウパッハ先生(立命館大学)

再生可能エネルギーによる地域経済効果

再生可能エネルギーによる地域付加価値創造分析の電源間の比較分析

再生可能エネルギーによる地域付加価値創造分析の電源間の比較分析

中山先生(京都大学)

再生可能エネルギーによる地域付加価値創造分析の電源間の比較分析

再生可能エネルギーの地域付加価値創造分析ツール〜日本版のデモンストレーション〜

再生可能エネルギーの地域付加価値創造分析ツール〜日本版のデモンストレーション〜

小川氏(京都大学博士課程)

再生可能エネルギーの地域付加価値創造分析ツール

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第2回【部門A】「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資」に関する研究会
2015年12月17日(木)、於:京都大学東京オフィス
研究会の模様
研究会の模様
 2015年12月17日(木)、【部門A】の第2回研究会が京都大学東京オフィスにて開催されました。第2回研究会では、京都大学の内藤克彦先生から「ドイツと日本のグリッド運用の相違」について、関西大学の安田陽先生から「電源構成の歴史的変遷の国際比較分析」についてご報告いただきました。

 内藤先生のご報告では、まず現在の日本において、再生可能エネルギー発電施設の立地が電力需要の少ない地域に偏っていることが示され、再生可能エネルギーの導入拡大をはかるためには、少なくとも現在の(電力会社単位の)電力システム管内の電力需要全体を用いて再生可能エネルギーの消費が行われるべきであることを指摘されました。そのためには、地域偏在性のある再生可能エネルギーの立地状況に柔軟に対応して変電所のキャパシティー増強などのグリッド強化を行うことが必要です。

 一方、ドイツでは、再生可能エネルギーの導入と同時並行でグリッド強化が行われてきました。この背景には、再生可能エネルギー法(EEG)の規定によって、再生可能エネルギーの優先接続や優先給電が担保されていたこと(第5条、第11条)、さらに再生可能エネルギー導入のための系統増強義務がグリッド管理者に課されており(第9条)、系統増強費用をグリッド管理者が負担することが明確になっていたこと(第14条)が挙げられます。さらに、EU指令(EU Directive 2009/28/EC)においても、グリッド側が再生可能エネルギーを最大限導入するために、優先接続や優先送電、優先給電を行うこと、グリッド増強の費用を負担することが定められています。

 翻って日本のFIT法では、現在のグリッドのキャパシティの不足を根拠に再生可能エネルギーの接続拒否が行える規定になっています。さらに、現在はアンバンドリングが進んでいないために、グリッド管理者が再生可能エネルギーよりも既存発電設備を優先するインセンティブがあるという問題もあります。このような制度設計は、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って深刻な問題になりうると指摘されました。

 安田先生からのご報告では、過去20年にわたる世界各国の電源構成の変化についての比較分析が行われました。欧州の多くの国では、石炭火力と石油火力が減少し、再生可能エネルギーとガス火力が増加するという傾向が見られるのに対し、日本では石炭火力が大幅に増加し、再生可能エネルギーの導入はほとんど増加していないことが指摘されました。

 また、GDPと二酸化炭素排出量の相関分析からは、先進国のほとんどの国ではGDPや総発電電力量を増やしながらも発電部門の二酸化炭素排出量を抑制出来ていることが明らかになり、環境と経済は必ずしもトレードオフの関係にあるわけではないということが示されました。一方、石炭火力を増やしていた日本はGDPや総発電電力量の増加が少ないにも関わらず二酸化炭素排出量が増加しています。

 ご報告後は、日本で再生可能エネルギーの導入が進まない要因についてディスカッションが行われました。再生可能エネルギーの導入が進んでいる欧州の国々では風力発電がたくさん導入されているのですが、日本では風力発電の導入がまだまだ進んでいません。この要因として、「日本は風況が悪く、欧州は風況が良い」という誤った認識があることがあると安田先生は指摘されました。(環境省や経済産業省のポテンシャル調査によると、日本の風力発電の導入ポテンシャルは、現在の導入量の約50倍あると考えられます。)

 また、風力発電設備の製造業の団体が日本では非常に弱いため、制度設計の時に十分な発言力を有していないこともその要因として考えられるという意見も出されました。さらに、欧州各国のような市民風車が普及していないことも論点にあげられ、その要因として市民風車のためのファンドを行うこどが金融制度上難しいこと、発電施設の維持管理を行う事業者がいないこと、企画をサポートするコンサルタントがいないことなどが指摘されました。

ドイツと日本のグリッド運用の相違

ドイツと日本のグリッド運用の相違

2015.12.17
京都大学特任教授
内藤克彦

ドイツと日本のグリッド運用の相違

電源構成の歴史的変遷の国際比較分析

電源構成の歴史的変遷の国際比較分析

関西大学システム理工学部
安田 陽

電源構成の歴史的変遷の国際比較分析

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第2回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会
2015年11月27日、於:京都大学
第2回【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会
研究会の模様
 2015年11月27日(金)14時〜17時、本科研費プロジェクトの【部門B】研究会が京都大学法経東館8Fリフレッシュルームにおいて開催されました。

 江原幸雄先生(地熱情報研究所代表、九州大学名誉教授)から、『最近の我が国の地熱発電の状況』についてご報告頂きました。

 地熱エネルギーは温度帯により多様な使い方が存在し、特に350℃以下の資源における多様な使用方法について整理を頂きました。地熱発電は、調査・概念、数値モデルを作成し発電量を予測し、環境アセスなどの諸手続きがあり、建設というプロセスが存在します。世界では欧州、欧米などにおいても地熱開発が進んでいますが、日本においては地熱開発については取り残されつつあった現状を学びました。

 また地域の視点からみた地熱発電の取り組みとして、小規模発電規模(10〜250kW)事業推進の必要性、また中規模発電(1000kW級)の地元企業と外部企業との協働が重要であるとの報告も頂きました。またそれらの事例として、最近運転開始をした九州の小浜バイナリー発電(70kW×3=210kW)、大分県九重町の菅原バイナリー発電(5000kW)などの事例が存在します。

 小川祐貴氏(京都大学大学院地球環境学舎博士課程1年)からは、『再生可能エネルギーの地域付加価値分析ツールの開発』としてご報告を頂きました。エネルギー自治の旗印のもと、地域の資源を地域として利用することは地域の経済において付加価値をもたらすことが出来るという当部門の理念を定量的に分析するために、ドイツの研究機関Ifasへの現地調査結果を踏まえたツールの現状報告を頂きました。

 これまで中山琢夫先生(京都大学)、ラウパッハ先生(立命館大学)らが積み上げてきた研究実績を踏まえ、より拡張をするために、関連産業との分析、また産業連関表との接合などの展望についてもご報告頂きました。また今後バイオマスや省エネ、地熱などの資源別の事業性の検討を踏まえた地域付加価値もより深く探求していくことも議論されました。展望を踏まえ、今後さらなる研究の発展が進む予定です。

研究会の模様
研究会の模様

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【部門A】「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資」に関する研究会、キックオフ・ミーティング
2015年7月29日(水)、於:京都大学東京オフィス
【部門A】「再エネ大量導入を前提とした電力系統の設計、運用、投資」に関する研究会、キックオフ・ミーティング
 本科研費研究プロジェクトの【部門A】のキックオフ・ミーティングが、京都大学東京オフィスにて開催されました。

 今回は、ソニーコンピューターサイエンス研究所の所眞理雄先生、徳田佳一先生に、家庭用の太陽光発電を直流網でつないで、お互いに電気を融通しあうDCマイクログリッドの実証実験を中心に、キーノート・スピーチをいただきました。

 この実験では、従来のように、交流にしてからグリッドにつなぐのではなく、直流のままつなぐことによって、電力融通を行います。この技術は、太陽光発電のように直流発電するエネルギーとの親和性が非常に高く、従来よりも電力ロスの少ないグリッド運営が期待されます。

 また、本科研費プロジェクトの研究メンバーの各先生方から、本研究における方法論および期待される成果等について、簡単にご報告いただきました。

 東京理科大学の近藤潤次先生からは、太陽光発電や風力発電などの変動性再生可能エネルギーの大量導入を前提とした配電系統の設計および最適制御についての研究計画をお話しいただきました。変動性再生可能エネルギーの大量導入時には、周波数変動や線路混雑などの問題が生じます。これらの問題に対処する解決策として、負荷の消費電力制御が重要になると考えられます。今後は、将来需要比率を考慮した負荷制御手法の検討、実証実験が行われる予定です。

 東京大学の阿部力也先生からは、デジタルグリッド構想についてのご説明が行われました。デジタルグリッドは、情報と半導体素子を用いて、電力潮流を制御する新しいグリッドのスタイルです。これの導入により、地域ごとに異なる発電構成や電力需要に対応した様々なビジネスモデルを許容するグリッドシステムが期待されます。

 総合ディスカッションでは、再生可能エネルギーの大量導入を前提とする電力システム改革に対する障壁として、技術的制約に加えて、政策的、経済的な問題もあること、それを追究していくにあたっては、本研究のように自然科学と社会科学の共同を行う必要があるのではないか、という論点も上がりました。

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【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量的評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会、キックオフ・ミーティング
2015年7月17日(金)、於:京都大学
【部門B】「再エネの地域経済波及効果の定量的評価、事業主体、地域ガバナンス」に関する研究会、キックオフ・ミーティング
 本科研費プロジェクトの【部門B】キックオフミーティングが京都大学にて開催されました。台風の到来で足下が悪い中、多くの先生方にご参加いただきました。

 立命館大学のラウパッハ・スミヤ・ヨーク先生からは、「再エネによる地域経済効果の評価-産業連鎖分析の日本版モデルの紹介-」というテーマでご報告いただきました。このモデルは、再生可能エネルギーの普及拡大がもたらす経済波及効果を定量的かつ定性的に試算・評価・予測するためのモデル分析で、産業バリュー・チェーンの各段階において従業員の可処分所得と事業者の税引き後収益と地方税収を足し合わせたもので地域経済付加価値を測ります。

 また、江原幸雄先生からは、「地熱発電の可能性と地域再生にもたらす影響」の研究概要についてご報告いただきました。国内の地熱発電を発電規模別に分けて調査し、それぞれの特徴の整理が行われています。この調査の完了後は、米国・カリフォルニア州など諸外国の状況と比較分析が行われる予定です。また、地熱発電は地域再生に資するものであるから、ラウパッハ先生の研究に地熱発電の情報を提供し、その地域経済に対する効果を分析することが提案されました。

 九州大学の八木信一先生は、再生可能エネルギーの社会的価値論について、学習の観点から再検討を行われています。また、コミュニティと市町村、市町村と都道府県との両方の関係に着目し、その重層的ガバナンスについても研究が行われます。特に、行政と住民の橋渡し組織としての地区公民館の役割が強調されていました。

 ペレットクラブの小島健一郎さんからは、日本のバイオマス発電が欧州に比べて大きな遅れをとっていることについての問題提起が行われました。特に、日本のエネルギー政策では、熱利用が軽視されていることが鋭く指摘されていました。

 静岡大学の太田隆之先生は、小水力発電の事例を中心に、再生可能エネルギーが地域再生に貢献する可能性についての研究を進めています。今後は、集落論や社会関係資本の観点から、地域の主体が有する意義と限界についてさらなる分析が行われます。

 京都大学の井上博成さんからは、再生可能エネルギーのビジネスモデル分析について、木質バイオマスを中心に事例調査報告をいただきました。今後は、これまでの事例研究のデータベース化、新しいビジネスモデルや政策の提案が予定されています。

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